2014 Fiscal Year Annual Research Report
関節リウマチ骨破壊に果たすTh17細胞関連サイトカインの役割
Project/Area Number |
24591456
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
鈴木 康夫 東海大学, 医学部, 教授 (90129495)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 関節リウマチ / 炎症性骨破壊 / 破骨細胞 / Th17細胞 / IL-17 family |
Outline of Annual Research Achievements |
関節リウマチ(RA)における炎症性骨破壊には破骨細胞が主要な役割を果たしている。申請者はRA滑膜組織培養を用いたin vitroで骨破壊モデルを確立した。近年RAの病態に果たすIL-17の役割が注目されている。本研究では、RA炎症性骨破壊に果たすTh17細胞およびIL-17 familyの役割を明らかにする目的で、in vitro骨破壊モデルにおいて、Th17細胞が産生するIL-17 family,IL-22, IL-6,TNFやTh17細胞の分化・生存・増殖・活性化に必須なIL-21,23,TGFβの変動を多項目同時解析手法で解析し、変形性関節症(OA)滑膜と比較した。RA8例、OA8例より同意のもと、人工関節置換術時に滑膜組織を採取し、実験に用いた。RA滑膜では有意に多数の破骨細胞が形成された(RA 592±169/well vs OA 137±124/well)。Th17細胞の分化、生存にかかわるIL-21,23はRA滑膜でOAに比して産生が多く(38.2±16.7 vs 22.3±8.5 pg/ml)またTGFβはRA滑膜では75.7±17.5とOA(19.8±4.6)に比して有意に高かった。しかし、IL-17A,17F,IL-22はOA滑膜の方が,産生が多く、IL-22は有意差を認めた(12.4±2.7 vs 260.4±86.9).IL-1β、TNFαの産生はRA群、OA群で差はなかったが、TNFβはRA滑膜で産生が多かった(195.7±115 vs57.9±36.7)。sRANKL,M-CSFはRA滑膜で産生が多かった(26.1±5.9 vs 11.0±2.6, 805.0±123.3 vs 515.3±147.2)。 今回の検討では,RA滑膜培養において無刺激の状態で多数の破骨細胞形成がみられた。Th17 細胞の分化、生存にかかわるIL-21,23,TGFβはRA群で高かったが,Th17細胞が産生するIL-17A,17F,IL-22はむしろOA 群で高値を示した.一方、RA滑膜培養では破骨細胞の分化にかかわるsRANKL, M-CSFの産生が高く、RANKLの細胞内刺激伝達系に作用し破骨細胞形成を促進するTGFβも高かった。以上よりRA滑膜炎組織では、IL-17 familyの直接作用ではなく,Th17細胞が誘導され,RANKL/RANK系を介して過剰な破骨細胞の形成が引き起こされている可能性がある。
|