2014 Fiscal Year Research-status Report
ヒブワクチン効果に影響するインフルエンザ菌莢膜遺伝子重複の細菌学的・疫学的研究
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24591476
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
徳田 浩一 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 特例准教授 (10518400)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西 順一郎 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (40295241)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 感染症 / 細菌性髄膜炎 / インフルエンザ菌b型 / ヒブワクチン / ワクチンフェーラー / capb遺伝子重複 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成23年以降に収集されたHib株を対象に、ワクチン接種後にHib髄膜炎を発症した患者(ワクチンフェーラー)との関連性が報告されているcapb遺伝子重複に関する調査研究を行い、今後のヒブワクチン計画の策定において有用な提言を国内外に発信することを目的としている。 平成20年12月のヒブワクチン導入により、5歳未満のHib髄膜炎は激減した。平成27年2月に報告された厚労省研究班の調査結果によると、全国10道県における5歳未満人口10万人当たりのHibによる侵襲性感染症の平均罹患率は、Hibワクチン公費助成前の平成20年~平成22年には7.7人であったが、平成24年0.6人(減少率92%)、平成25年0人(減少率100%)にまで減少した。鹿児島県におけるHib髄膜炎患者も同様に減少し、平成23年4件、平成24年1件で、いずれもワクチン未接種者であり、さらに平成25年度以降は0件となった(平成27年4月24日現在)。 当初より調査研究に必要な髄膜炎由来Hib株の収集には、比較的長期(2年以上)を要すると想定していたものの、ヒブワクチン導入による効果発現(患者減少)が予想以上に早く、髄膜炎由来Hib株の収集が困難となっている。鹿児島県では従来よりHib髄膜炎患者の全数報告システムが運用されているが、さらに確実に患者を探知するために、メーリングリストなど様々なネットワーク上や集会の場で患者報告の依頼を行っており、県内の発生患者は全て把握できていると考えられる。さらに、より検体収集を確実なものにするため、対象疾患を血液由来株を含む侵襲性インフルエンザ菌感染症に広げるとともに、全国に細菌検査センターを検査関連事業所(株式会社BML)に依頼し、12株のインフルエンザ菌株を追加収集した。次年度は他大学や国立感染症研究所が保管する株も供与される予定であり、解析を行う予定としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成16年から平成23年までの侵襲性感染症由来Hib34株に対しては、遺伝子解析が終了しており、現在、それ以降に収集された株について解析中である。一部のデータについては米国感染症学会総会(IDWeek2012)で報告を行った。 本邦における平成20年12月のヒブワクチン導入により、5歳未満のHib髄膜炎は激減した。厚労研究班の調査報告では、全国10道県における5歳未満人口10万人当たりのHibによる侵襲性感染症の平均罹患率は、Hibワクチン公費助成前の平成20年~平成22年には7.7人であったが、平成24年0.6人(減少率92%)、平成25年0人(減少率100%)にまで減少した。鹿児島県におけるHib髄膜炎患者も同様に減少し、平成23年4件、平成24年1件で、いずれもワクチン未接種者であり、さらに平成25年度以降は0件であった(平成27年4月24日現在)。 当初より調査研究に必要な髄膜炎由来Hib株の収集には、ワクチンによる患者発生状況の鈍化を見込み、2年以上の長期が必要と想定していたものの、ワクチン導入による効果発現(患者減少)が予想以上に早く、平成24年度にcapb遺伝子重複の分析を実施できたHib株は僅かであった。メーリングリストなど様々なネットワーク上や集会の場で患者報告の依頼を行っており、県内の発生患者は全て把握できていると考えられることから、さらに多くのHib株を効率的に収集するために、対象疾患を血液由来株を含む侵襲性インフルエンザ菌感染症に広げるとともに、全国に細菌検査センターを検査関連事業所(株式会社BML)に依頼し、12株のインフルエンザ菌株を追加収集した。次年度は他大学や国立感染症研究所が保管する株も供与される予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初より調査研究に必要な髄膜炎由来Hib株の収集には比較的長期(2年以上)を要すると想定していたが、ヒブワクチン導入による効果発現(患者減少)が予想以上に早く、髄膜炎由来Hib株の収集が困難となっている。鹿児島県では従来よりHib髄膜炎患者の全数報告システムが運用されているが、さらに確実に患者を探知し、検体を収集するために、鹿児島県で実施中の全数報告システムによるHib株の収集に加え、対象疾患を血液由来株を含む侵襲性インフルエンザ菌感染症に広げるとともに、全国に支社を有する検査関連事業所(株式会社BML)に依頼し、本事業所が平成25年8月以降に全国で収集した全ての菌株(12株)譲り受けることができた。さらに次年度は他大学や国立感染症研究所が保有する株も供与される予定であり、これらのHib株を対象に解析予定としている。
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Causes of Carryover |
平成20年12月のヒブワクチン導入後、Hib髄膜炎の小児患者数は予想を超える短期間で大きく減少した。鹿児島県の患者数も激減し、県内だけでの検体収集は困難な状況である。平成26年より全国に検査センターを有する検査関連事業所(株式会社BML)より検体供与を受けているものの、全国的な患者減少のため、研究に必要な検体数の確保には研究期間の延長が必要となり、結果として研究費の未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成16年から平成23年までの侵襲性感染症由来Hib34株に対しては、遺伝子解析が終了している。次年度は、県外の医療機関や大学、国立感染症研究所の協力も得て、Hib株をさらに収集し、既に収集している平成24年以降のHib株とあわせて、サザンブロッティング法による遺伝子解析を実施する。
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Research Products
(7 results)