2012 Fiscal Year Research-status Report
Non-B HIV-1のEnv立体構造に影響を与える新規侵入阻害剤の開発
Project/Area Number |
24591485
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
吉村 和久 国立感染症研究所, エイズ研究センター, 室長 (60315306)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | CD4 mimic / NBD誘導体 / 中和抗体 / Envelope |
Research Abstract |
24年度は、HIV-1 Subtype Non-B株のCD4 cavityに結合し、侵入を阻害するだけでなく立体構造変化を惹起する可能性の高い低分子化合物の設計、合成を行うことを主たる目的として研究を開始した。多くのNBD誘導体(Subtype Bの立体構造変化を惹起するCD4 mimic低分子化合物)をスクリーニングしたが、Non-B(特にSub C)をBと同等に侵入阻害する誘導体はこれまでまだ見つかっていない。そこで、NBD骨格ではないがEnvに結合し同様に侵入阻害および構造変化を起こす化合物の候補としてベツリン酸誘導体(BA誘導体)を試した。その結果、Subtype B同様、 C及びBCの感染阻害効果が認められるBA誘導体(IC9564)を確認できた。また、まだ基礎実験の段階であるが、FACS解析の結果少なくともSubtype Bの構造変化を起こしている事が分かった。これらのBA誘導体がEnv結合により、non-B HIVにおいても立体構造変化を起こすかどうかを25年度以降は詳細に検討する予定である。一方で、Subtype non-BのHIV-1株を臨床サンプルから分離する試みを進行させている。申請者らは、簡便にしかも確実にR5ウイルスを分離するために、CCR5高発現T細胞株であるPM1/CCR5細胞を用いてウイルス分離を行う方法を確立している。このウイルス分離の系を用いて、現在まで50以上のsubtype B及びnon-Bの臨床分離株を樹立してきた。今後も広範囲のSubtype non-BのHIV-1臨床分離株を樹立し、広い範囲の臨床分離ウイルスパネルを構築することを引き続き行っていく。これらのパネルウイルスを用いて、合成した新規CD4 mimic低分子化合物に対する感受性を比較検討し、より広範囲なSubtype non-B株に反応する化合物の選定を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
24年度は、subtype non-Bに有効なCD4類似低分子化合物の選定を、これまでsubtype Bで実績のあったNBD骨格をもつ誘導体からまず行った結果、良い候補化合物が見つからなかった。しかし、平行して検索したベツリン酸誘導体(BA誘導体)のなかから、subtype B、Cだけでなく、現在中国で広く感染が広がっているsubtype BC株にも効果がある新たな誘導体IC9564を同定できた。今後より多くの臨床分離株で、効果を試していく予定にしている。本年度の目標の一つである新たなCD4類似化合物の選定という意味では、より広い株に有効なものが新しいリードコンパウンドからの誘導体で見つかった事からすると当初の目標以上の達成度と考えている。臨床分離株の樹立の点でも本年度の目的は達成できているといえる。ただし、24年度中に開始する予定であったin vitroの耐性誘導は、新たな化合物の選定が本年度ぎりぎりまでかかったため、次年度に繰り越しとなった。この点は、当初目的のなかで到達できなかった部分であった。 また、臨床分離株の樹立も現在進めており、現時点で60株以上の日本人に感染しているsubtype B及びnon-B(C,BC,AE,G)の臨床分離ウイルスを樹立してきた。現在も、分離を続けており3桁まで届くようにサンプルの収集を継続中である。この点では予定通りに進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度以降は、引き続きNBD誘導体(Subtype Bの立体構造変化を惹起するCD4 mimic低分子化合物)をスクリーニングし、Non-B(特にSub C)をBと同等に侵入阻害する誘導体の検索を行う。また、新たに見つけ出したNBD骨格以外のEnvに結合し同様に侵入阻害および構造変化を起こすベツリン酸誘導体(BA誘導体)のIC9564をリードコンパウンドとして引き続きCD4類似化合物の探索を行う。IC9564及び、より有効なBA誘導体が開発できればそれらを用いて、Subtype C株のR5ウイルスの逃避ウイルス誘導を試みる。この時用いる細胞は、CCR5高発現T細胞株のPM1/CCR5細胞である。この細胞は、R5でもX4でも合胞体形成が見られるため、ウイルスの継代の時期の特定が簡便であるという特徴を有している。In vitro耐性誘導実験により得られたNBD誘導体耐性ウイルスを用いて、その耐性度をPM1/CCR5細胞を用いたWST-8 assayにより判定する。高度NBD耐性ウイルスの誘導が確認できた後、これらのウイルスのEnvのシークエンスを行う。その結果より、逃避能付与責任変異部位の特定を行い、これらの同定された責任部位をsite-directed mutagenisis法により変異エンベロープを持つpseudotype ウイルスを作製し、構造と機能の相関関係を推測し、より広範囲に反応する新規CD4類似化合物の開発につなげる。臨床分離株の樹立は随時進めていく予定で、今後はより最近感染した症例からsubtype B及びnon-Bの臨床分離ウイルスを樹立していきたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1)新規化合物の合成のために使用する原材料費。2)耐性誘導のための細胞の継代等のために必要となる細胞培養液、各種プラスチック容器や抗生物質。3)シークエンスを行うために必要な試薬及び外部委託する場合の費用。4)FACSを行うために使用する各種抗体やシース液等の消耗品。今年度の研究を遂行するために、以上の物品購入が必要と考えている。
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Research Products
(12 results)