2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24591486
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Showa Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
濱田 浩一 昭和薬科大学, 薬学部, 助教 (00343070)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | HIV / 潜伏感染 |
Research Abstract |
エイズの治療を困難としている大きな理由にHIV-1の潜伏感染がある。現行の抗レトロウイルス多剤併用療法(cART)はエイズの発症を遅延させることができるが、潜伏感染しているHIV-1には無効であるため体内からウイルスを完全に除去することができない。従って潜伏感染期のHIV-1複製の誘導もしくは抑制の分子メカニズムを解明することはエイズ撲滅のための最も重要な課題の一つであり、抗レトロウイルス多剤併用療法と組み合わせることにより新たな治療法に繋がる可能性がある。PI3Kは様々な成長因子・増殖因子により活性される。活性化されたPI3Kは、細胞膜構成成分であるホスファチジルイノシトール-4,5-二リン酸(以下PIP2)のイノシトール環3位(水酸基)をリン酸化し、ホスファチジルイノシトール-3,4,5-三リン酸(以下PIP3)を産生する。一方、PTENは、PIP3を基質とする脂質ホスファターゼで、PI3K経路を負に制御する癌抑制遺伝子である。現在までに申請者は、以下のことを明らかにした。①PI3K/Akt経路はHIV感染時に活性化されている。②PI3Kαは、HIV潜伏感染細胞を再活性化に重要な役割を果たしている。③PTENはHIVの再活性化を制御している。以上のことよりPI3K/PTEN-GSK3経路はHIV-1の潜伏感染において重要な役割を果たしていることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書では、HIV-1潜伏感染細胞の再活性化におけるPI3K/PTEN-Akt経路の役割解明を計画していた。平成24年度の研究では、HIV-1潜伏感染細胞の再活性化にはPI3K/Akt-GSK3経路が活性化されていること、PI3Kの阻害剤であるLY294002により再活性化が抑制されること明らかにした。またPI3Kにはα、β、γ、δのアイソザイムが存在するが、どのPI3Kが潜伏感染からの再活性化に重要なのかは不明であった。そこで、これらのアイソザイム特異的阻害剤を用いて検討したところPI3Kα特異的阻害剤によりHIV-1潜伏感染の再活性化が抑制された。さらにHIV-1潜伏感染細胞に対してPI3Kα恒常的活性化型を遺伝子導入することで、潜伏感染細胞を活性化できることを明らかにした。以上のことより、おおむね順調に進展していると考えている。またこれらの研究成果は、現在論文投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、当初の計画通りHIV-1潜伏感染細胞におけるGSK3の役割を検討し、GSK3阻害剤によるHIV-1潜伏感染細胞の再活性化メカニズムの検討実施に向けて研究を遂行する。さらにHIV-1の再活性化に重要な役割を果たしているNF-κBやNFATへの依存性について検討を行うことによりHIV-1再活性化のターゲット分子が明らかとなると考えている。なお24年度に、申請者が所属している大学より研究者研究助成金を得ることができ、そちらを優先して使用した為に残額が発生してしまったが、研究は概ね予定通り実施されており、十分な成果が得られていると考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究を遂行するにあたり必要となる設備(蛍光顕微鏡、共焦点レーザー顕微鏡、マイクロプレートリーダ等)は、当大学および申請者が所属する研究室に整備されている。従って平成24年度と同様、平成25年度も研究費は主に消耗品の購入に使用したいと考えている。また研究成果の報告の為の学会参加費と論文投稿費として研究費を使用したいと考えている。適切な使用はもちろんのこと、研究費の節約に取り組みつつ、効率的な使用を心がける所存である。
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Research Products
(1 results)