2013 Fiscal Year Research-status Report
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24591486
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Research Institution | Showa Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
濱田 浩一 昭和薬科大学, 薬学部, 助教 (00343070)
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Keywords | 潜伏感染 / HIV |
Research Abstract |
エイズの治療を困難としている大きな理由にHIV-1の潜伏感染がある。現行の抗レトロウイルス多剤併用療法(cART)はエイズの発症を遅延させることができるが、潜伏感染しているHIV-1には無効であるため体内からウイルスを完全に除去することができない。従って潜伏感染期のHIV-1複製の誘導もしくは抑制の分子メカニズムを解明することはエイズ撲滅のための最も重要な課題の一つであり、抗レトロウイルス多剤併用療法と組み合わせることにより新たな治療法に繋がる可能性がある。 PI3キナーゼは、ホスファチジルイノシトール4,5-二リン酸(PtdIns(4,5)P2)のイノシトール環3位のヒドロキシル基をリン酸化し、ホスファチジルイノシトール3,4,5-三リン酸 (PtdIns(3,4,5)P3)産生する酵素である。産生されたホスファチジルイノシトール3,4,5-三リン酸は、プロテインキナーゼB/Aktを活性化を起こし、様々な生理作用の発現に関与する。さらにPI3キナーゼは、受容体型チロシンキナーゼによって活性化されるPI3キナーゼ p110α, p110β, p110δやGタンパク質共役受容体よって活性化されるPI3キナーゼ p110γが知られている。一方、PTENは、PIP3を基質とする脂質ホスファターゼで、PI3キナーゼ 経路を負に制御する癌抑制遺伝子である。 そこで我々は、HIV-1の潜伏感染に対してPI3キナーゼ/PTEN経路がどのように関与するのかを明らかにしたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HIV-1潜伏感染細胞を再活性化におけるPI3キナーゼ/PTEN-Akt経路の役割解明するために 現在までに、以下のことを明らかにした。①PI3キナーゼ/Akt経路はHIV潜伏感染時に活性化されていた。②各種PI3キナーゼの阻害剤を用いてHIV潜伏感染細胞を再活性化を検討したところ、PI3キナーゼαが、HIV潜伏感染細胞を再活性化に重要な役割を果たしていた。③PI3キナーゼの逆の役割を行うホスファターゼであるPTENは、HIVの再活性化を制御している。これらの研究成果は、現在論文投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、当初の計画通りHIV-1潜伏感染細胞におけるPI3Kの負の制御因子であるGSK3の役割を検討し、GSK3阻害剤によるHIV-1潜伏感染細胞の再活性化メカニズムの検討実施に向けて研究を遂行する。さらにHIV-1の再活性化に重要な役割を果たしているNF-κBやNFATへの依存性について検討を行うことによりGSK3阻害剤によるHIV-1再活性化のターゲット転写因子が明らかとなると考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究を効率よく進めるために、次年度使用額が生じた。 26年度の計画に変更はない。
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