2014 Fiscal Year Annual Research Report
ヘッジホッグシグナリングにおける分子調節機構の解明
Project/Area Number |
24591502
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
藤井 克則 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70344992)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | シグナル伝達 / ヘッジホッグ / 癌形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】ヘッジホッグ経路は、形態形成や細胞増殖、腫瘍形成において重要な経路である。その経路阻害薬は抗腫瘍薬として開発・使用されている。Gorlin症候群はヘッジホッグ受容体であるPTCH1変異を有するため、ヘッジホッグシグナル伝達が亢進し、奇形形成・高発癌性を示す。Gorlin症候群患者におけるヘッジホッグシグナル伝達の解明、経路阻害薬の効果を確認することを目的とした。 【方法】PTCH1変異が同定されているGorlin症候群患者の皮膚線維芽細胞を用い、ヘッジホッグ経路刺激薬・阻害薬、臨床使用されているビスモデギブによる刺激を行い、細胞内シグナル伝達の変化をGLI1のmRNAを定量的に測定し確認した。また、Gorlin症候群患者皮膚線維芽細胞において、ヘッジホッグ経路の伝達に必須である一次線毛を免疫染色し、飢餓時、経路刺激時の一次繊毛保持細胞の割合を検討した。 【結果・考察】Gorlin症候群患者では、非刺激状態においてもGLI1の上昇を認め、定常状態におけるヘッジホッグ経路の亢進が示された。また、ヘッジホッグ刺激時では、細胞を飢餓状態にすることでより著明にGLI1が亢進した。一次線毛を有する細胞の割合は細胞を飢餓状態にすることで上昇したが、Gorlin症候群患者と非疾患ヒト線維芽細胞では差は認めなかった。抗腫瘍薬であるビスモデギブ刺激では、ヘッジホッグにより亢進したGLI1が著明に減少し、その抑制効果はシクロパミンと比較し顕著であった。またヘッジホッグ関連遺伝子の網羅的解析では、シグナル亢進状態でZIC1、ZIC2が上昇、BMP4が著明に低下していた。 【結論】Gorlin症候群患者線維芽細胞において、Hh経路は定常的に亢進しており、刺激薬・阻害薬に対する反応が保持されている。また、血清飢餓状態で薬剤の効果が相乗的に亢進することが確認された。今後、治療薬への反応性や抵抗性、副作用の確認において、ヒト皮膚線維芽細胞の使用が有用であると考えられる。
|
Research Products
(9 results)