2012 Fiscal Year Research-status Report
福山型先天性筋ジストロフィーの治療法の確立に関する研究
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24591510
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
池田 真理子(谷口真理子) 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00410738)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 先天性筋ジストロフィー / 核酸治療 / スプライシング異常 / 分子標的治療 |
Research Abstract |
1.FCMDのモデル動物系及び細胞系を用いたアンチセンス療法の臨床応用実現に向けての検討 FCMD患者由来筋芽細胞にAON(PMO, 2OMePS)を投与し最も有効なアンチセンス核酸を選択すし至適な核酸配列やカクテルを同定するため、標的配列であるスプライシングアクセプター・ドナー・スプライシング促進配列に網羅的に核酸を作成し、スプライシング是正の活性を測定した。この結果、以前では複数の標的配列に対してしか効果がないと思われていたが、一つの標的配列に対し作成した核酸化合物でも効果的にスプライシングの是正がみられることがわかった。 つぎにモデルマウスの尾静脈経由または腹腔内に投与(20mg/Kg~400mg/Kg, 毎週, 2~8 回投与)し骨格筋を中心に各組織での治療効果を検討した.FCMDではアルファジストログリカンのO-マンノース型糖鎖に欠損がみられそのリガンドであるlamininとの結合能が低下するため、その回復を機能的な治療効果の指標とした。結果単剤投与でも十分な糖鎖修飾の改善がみられた。またこの効果は約1か月間は持続することも確認できた。 FCMDモデルマウスには患者に見られる特徴的な臨床的所見(脳奇形や筋弱力)は見られない.よってモデルマウスにおいて臨床症状の改善の指標となるパラメーターの検索や、患者でみられる臨床症状を呈するモデルマウスの創出も試みた。近年マイクロRNAが血清中のエクソソームに存在し、これらをバイオマーカーとして癌や炎症などの指標とされるようになってきた。そこでFCMD患者の血清を用いてマイクロRNAを定量的RTPCRを用いて測定したとろ、筋由来のマイクロRNAが患者に比べ著明に上昇していた。今後FCMDモデルマウスにおいてもマイクロRNAに変動があるか検討を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
FCMDのモデル動物系及び細胞系を用いたアンチセンス療法の臨床応用実現に向けての検討 において、最も効果があるとされる核酸配列を絞り込む作業が達成できたことは順調であると考える。また、これらに関してモデル動物を用いた実験で、効果がある程度安定していることや持続的な効果がみられたことは、今後人の臨床応用にむけた良いデータであると考える。核酸を投与した際の副作用について、血清中の腎機能・肝機能などの検査も行ったが、今後は尿たんぱく・血尿などの精査も必要になると考える。これを来年度以降にもちこして研究を継続する予定である。またこのモデルマウスに臨床症状が無いという問題点があり、カルジオトキシンなどを投与したが、それでも正常との差がみられなかったため、血清中のバイオマーカーであるマイクロRNAの測定を開始した。これはさらに次年度にまたがって解析を継続する予定である。 また骨格筋以外の組織に関しては未だ全く解析ができていない。核酸治療薬の以降が心筋ではよくないこともあり、今後高濃度の核酸投与により心筋への以降があるかを次年度以降で研究を継続する予定である。今後は治療薬の候補となる核酸をさらに絞り込み、実験数を増やし効果の再現性や副作用の有無などを検討していく予定
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Strategy for Future Research Activity |
今後以下の実験を計画する。 2スプライシング是正薬及びαG増強薬の低分子化合物を用いた薬剤スクリーニング 申請者は今までに、SVA挿入型fukutinコンストラクトの正常fukutinをコードする翻訳領域 流にレポーター遺伝子を導入したコンストラクトを用いて低分子化合物ライブラリーより有効化合物の治療効果を評価する.ハイスループットなスクリーニングを行い、異常スプライシングの是正効率の高い39種類の有効な化合物候補について、実験の再現性を確認し有効薬剤を再抽出し、モデル動物への投与実験を開始し治療効果、濃度依存性や毒性を検討する.同様の系で多数の低分子化合物ライブラリーからの有効薬剤の網羅的検索を行う.3患者モデルマウス由来のマウスES細胞系を用い、αDGのマンノース型糖鎖を認識する抗体(IIH6C,VIA41)を用い、投与薬剤による糖化増強を認識するハイスループットなELIZAアッセイ系を作成する.このアッセイ系を用いて薬剤化合物のケミカルスクリーニングを行う.4.高分子ナノ化合物、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等を用いたDDSの構築 PMMAの重合を試み至適化されたAONとの複合体を作成し、KIマウスでの治療効果を検討しDDSの構築を図る.薬剤毒性、組織移行性、治療効果持続性、抗原性、スプライシング是正効率の面から検討する.また、さらにその表面をリポソームでコーティングするとさらに約数百倍近く投与効率が上昇するとの報告もあり有効な核酸ナノ分子複合体の修飾の工夫も行う.5.fukutin蛋白の機能解析及び至適なDDSを用い投与するfukutin(酵素)補充療法の開発fukutinを培養細胞や動物組織より精製し、酵素活性をあきらかにし、患者モデルマウスや細胞に投与し治療効果を検討する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
アンチセンス核酸(モルフォリノ、2OメチルRNA及び架橋型アンチセンス核酸)の購入や細胞導入にかかわる試薬の購入が中心となる。(1000千円) また動物実験施設使用料、ガラス・プラスチック用品の購入に リアルタイムPCR装置(Fisher社)(1550千円)に関しては現在購入を検討予定である。 国内外での研究成果発表経費(300千円)が必要である
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Research Products
(11 results)
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[Presentation] M. Taniguchi, K. Kobayashi, M. Kanagawa, CC. Yu, T. Oda, A. Kuga, H. Kurahashi, H. O. Akmen, S. DiMauro, T. Yokota, S. Takeda, T. Toda2012
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