2013 Fiscal Year Research-status Report
インスリン様成長因子-Iの転写因子と結合蛋白の異常による成長ホルモン不応症の解明
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24591512
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
神崎 晋 鳥取大学, 医学部, 教授 (90224873)
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Keywords | IGF-I受容体異常症 / 成長ホルモン不応症 / 偽性副甲状腺機能低下症 / 遺伝子変異 |
Research Abstract |
1.SGA性低身長児に見いだされた新規IGF-I受容体遺伝子変異(p.W1219X) 妊娠40週出生体重2,110 gr (-3.0 SD)、身長44.3 ㎝ (-2.8 SD)のSGA (small for gestational age)児として出生した女児。低身長の家族歴はない。出生後も低身長が持続し、2歳5か月の検査では血中insulin-like growth factor (IGF)-Iは正常(185 ng/mL)であったが、成長ホルモン基礎値は高値(10.5 ng/mL)を示した。3歳になっても身長のcatch-upがなく、低身長(-3.1 SD)が持続するため、IGF-I受容体遺伝子の検索を行ったところ、新規遺伝子変異(p.W1219X)をヘテロ接合体で見出した。この遺伝子変異は私たちが見出し機能解析を行った(p.Q1220X)の隣であり、endoplasimic-reticulum-associated protein degradation (ERAD)機構によりIGF-I受容体蛋白の減少をきたし、低身長になったと考えた。 2.偽性副甲状腺機能低下症Iaの3例に見出された新規GNAS遺伝子変異 偽性副甲状腺機能低下症Ia (PHPIa)の3例にGNAS遺伝子の解析を行い、3種類の新規GNAS遺伝子変異、exon 1に p.L46Pおよびp.G47S、intron 1のsplice acceptor siteにIVS1+1G>Aを見出した。わが国では、exon 1やintron 1 はGNAS遺伝子変異のhot spotかもしれない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「インスリン様成長因子-Iの転写因子と結合蛋白の異常による成長ホルモン不応症」を課題として研究を開始した。 SGA (small for gestational age)児として出生し、出生後も低身長が持続し、2歳5か月の検査の成長ホルモン基礎値は高値を示した女児で、IGF-I受容体遺伝子の検索を行ったところ、新規遺伝子変異(p.W1219X)をヘテロ接合体で見出した。この遺伝子変異は私たちが見出し機能解析を行った(p.Q1220X)の隣であり、不完全(変異)蛋白の発現を蛋白レベルで抑制している小胞体関連分解(ERAD) pathwayを介してIGF-I受容体蛋白の減少をきたし、低身長になったと考えた。また、偽性副甲状腺機能低下症Ia (PHPIa)の3例にGNAS遺伝子の解析を行い、3種類の新規GNAS遺伝子変異、exon 1に p.L46Pおよびp.G47S、intron 1のsplice acceptor siteにIVS1+1G>Aを見出した。 以上のように,成長ホルモン不応症という面からは一定の成果が得られたと判断している。 当初研究の目的である成長ホルモン(GH)作用を仲介する転写因子STAT5b異常症に関しては、極めて希な疾患でSTAT5b異常症は見いだせていない。また、血中IGF-I濃度の維持の役割を持つ結合蛋白ALSに注目して、GH不応症の新しい病因を明らかにする課題も,低身長で血中IGF-I値が著しい低値を示す症例を対象に検索を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初研究の目的としたIGF-Iの転写を調節する転写因子STAT5b異常症、血中IGF-I濃度の維持の役割を持つ結合蛋白ALSの異常症について本邦初例を見いだすことを目的に以下の研究を引き続き行う。 1.臨床対象での検討 1)当講座はIGF/IGF-I受容体研究のトップクラスの業績をあげている。そのため、他施設からの検査依頼が多い。原因不明の低身長児で,特にIGF-Iの低値を認める症例を、学会活動を介して他施設からも収集し,STAT5bおよびALS遺伝子の変異を引き続き探索する.2)GH治療患者を対象に, STAT5bおよびALS遺伝子多型と、血中IGF-I、ALS濃度および身長増加率の改善を検討し,これらの遺伝子多型の骨発育への関与を明らかにする. 2.In vitroでの検討 1)見出した変異ALS遺伝子を有する対象者の血清のWestern blotを行い、変異ALS蛋白とIGF-IおよびIGFBP-3との結合能を検討する.2)変異STAT5b遺伝子と、IGF-I遺伝子とその転写領域を含む領域をCHO細胞に発現させ,変異STAT5b遺伝子の機能を解析する.3)IGF-I受容体異常症の遺伝子解析と変異遺伝子導入細胞を用いた機能解析を引き続き行いたい。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Instability of KCNE1-D85N that Causes Long QT Syndrome: Stabilization by Verapamil2014
Author(s)
Sakata S, Kurata Y, Li P, Notsu T, Morikawa K, Miake J, Higaki K, Yamamoto Y, Yoshida A, Shirayoshi Y, Yamamoto K, Horie M, Ninomiya H, Kanzaki S, Hisatome I.
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Journal Title
Pacing Clinical Electrophysiology
Volume: Epub ahead of print
Pages: 1-11
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Familial short stature is associated with a novel dominant-negative heterozygous insulin-like growth factor 1 receptor (IGF1R) mutation2014
Author(s)
Kawashima Y, Hakuno F, Okada SI, Hotsubo T, Kinoshita T, Fujimoto M, Nishimura R, Fukushima T, Hanaki K, Takahashi SI, Kanzaki S
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Journal Title
Clinical Endocrinology (Oxf)
Volume: Epub ahead of print
Pages: 1-3
DOI
Peer Reviewed
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