2014 Fiscal Year Research-status Report
小児のてんかん性認知障害の発生に関する脳波分析研究
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24591513
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小林 勝弘 岡山大学, 大学病院, 講師 (60273984)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | てんかん性脳症 / 脳波異常 / 高周波振動 |
Outline of Annual Research Achievements |
激しいてんかん性活動のために認知機能障害等が惹起される病態がてんかん性脳症であり、小児の発達において重大な問題である。てんかん性脳症の1型である徐波睡眠時に持続性棘徐波 (continuous spike-waves during slow sleep, CSWS) を示すてんかんに発展する可能性のある小児てんかん症例を、前方視的に追跡する研究を行っており、患者家族から同意書を集めている。すなわち睡眠脳波で特徴的焦点性てんかん発射が増強を示すタイプの小児てんかんの症例であり、平成 24~26年度中に計 79例において同意書を得ることができた。これらの症例の初回睡眠時脳波データを分析し、47例では棘波に伴う高周波 (ripple)帯域の異常活動を時間・周波数分析により検出した (平均ピーク周波数 120.5 Hz)。残り 32例は初回脳波では高周波を認めなかった。今後の年余に亘る観察の間に病像とくに睡眠時脳波異常の変化があれば、脳波の高淘波振動の出現状態や周波数と、認知や言語などの高次脳機能の変化がどのように関連するのかを解明できる。 またもう1つの重要なてんかん性脳症である点頭てんかん (West 症候群) においても、後方視的に脳波分析を行った。すなわち West 症候群の乳児 17例の発作間欠時脳波の特徴であるヒプサリズミアでガンマ帯域および ripple 帯域の速振動 (fast oscillations, FOs) が著明に出現していること、その密度は成人てんかん症例の約 100倍であって FOs の嵐のような状態であることを明らかにした。 てんかん性脳症の病態は今なお未解明であるが、脳波異常がどのようにして認知障害をきたすのかという謎の鍵は異常高周波活動にあると推測されるので、今後この点を明らかにして行きたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
てんかん性脳症の代表的病型である CSWS を示すてんかんに発展する可能性のある小児てんかん症例を前方視的に追跡しているが、これまで平成 24~26年度中に計 79例において同意書を得ることができた。これらの症例の初回睡眠時脳波データを分析し、47例では棘波に伴う高周波 (ripple)帯域の異常活動を時間・周波数分析により検出した (平均ピーク周波数 120.5 Hz)。残り 32例は初回脳波では高周波を認めなかった。今後の年余に亘る観察の間に病像とくに睡眠時脳波異常の変化があれば、脳波の高淘波振動の出現状態や周波数と、認知や言語などの高次脳機能の変化がどのように関連するのかを解明できる。HFOsを認めた症例の中11例で CSWSへの発展が観察された。 また West 症候群の乳児 17例においても後方視的に脳波分析を行い、発作間欠時脳波のヒプサリズミアでガンマ帯域および ripple 帯域の速振動 (fast oscillations, FOs) が著明に出現していること、その密度は成人てんかん症例の約 100倍であって FOs の嵐のような状態であることを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究期間で、小児てんかん症例を追跡することで臨床および脳波像において病像の悪化とくにCSWSを示すてんかんに発展する小児てんかん症例を見極める。このような病状変化に関する予後予測因子を、脳波のてんかん発射に伴うガンマおよび ripple帯域 FOsの出現状態や周波数に求めることができるかどうか分析する。これにより認知や言語などの高次脳機能の変化が、脳波の高周波とどのように関連するのかを解明できる。それと共に追跡の同意をさあに多くの患者に求めることで、一層症例数を増やしたい。
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