2016 Fiscal Year Annual Research Report
Electroencephalogram analysis regarding pathophysiological mechanisms of epileptic cognitive disorders in childhood
Project/Area Number |
24591513
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小林 勝弘 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (60273984)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | てんかん性脳症 / 脳波異常 / 高周波振動 |
Outline of Annual Research Achievements |
小児のてんかん性脳症で認められる認知障害などの神経心理学的異常について激烈なてんかん性異常がこれに関与すると考えられる。その代表が徐波睡眠時に持続性棘徐波を示すてんかん性脳症 (CSWS)であり、また脳波でヒプサリズミアを示すウエスト症候群である。てんかん性発作間欠期脳波異常が如何に高次脳機能に影響するのかはこれまで不明であった。 脳波で従来の周波数帯域よりも遥かに速い 40 Hz以上のガンマ帯域活動そして80 Hz 以上の周波数の律動的活動 (高周波振動・速波振動) が技術開発により記録可能になった。この研究の目的は小児期てんかん性脳症において、脳波の異常高周波振動が特に顕著に出現することを検証し、この多寡強弱が病勢や認知機能と関連することを明らかにすることであった。 第一の研究では、小児期に睡眠時の焦点性てんかん発射が増強する患者計 96例を対象とした。初回脳波検査で棘波に伴い高周波振動を検出したのは計55例 (57.3%)である。その内訳は特発性小児部分てんかんでは 26例 (70.3%)、非特発性小児部分てんかんでは 10例 (52.6%)、CSWS では 12例 (100.0%)、非てんかん性疾患では 7例 (28.0%)、そしてその他では 0例 (0.0%)であった。てんかん性異常高周波振動は特に CSWSの症例で多いことが明らかになった。 第二の研究では、ウエスト症候群の乳児 17症例を対象として後方視的に脳波分析を行い、ヒプサリズミアで速波振動が著明に出現していること、その密度は成人てんかん症例の約 100倍であって速波振動の嵐のような状態であることを明らかにした。 今回の研究で、てんかん性脳症で脳波異常がどのようにして認知障害をきたすのかという謎の鍵は異常高周波活動にあることが示唆された。今後のてんかん性認知障害発現の解明と治療の立脚点になると考える。
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