2012 Fiscal Year Research-status Report
免疫応答抑制を併用した効果的ライソゾーム病酵素補充療法の開発
Project/Area Number |
24591526
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
大橋 十也 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (60160595)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶋田 洋太 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (20560824)
樋口 孝 東京慈恵会医科大学, 医学部, その他 (30595327)
衞藤 義勝 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (50056909)
小林 博司 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (90266619)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ライソゾーム病 / 酵素補充療法 / 抗体 / 免疫寛容療法 / 抗CD3抗体 |
Research Abstract |
研究内容はライソゾーム病の酵素補充療法において発生する酵素製剤に対する抗体の特徴づけと酵素の経口ならびに経鼻投与、そして抗ヒトCD3抗体による免疫寛容導入である。以下に初年度の研究結果を述べる。(1)酵素補充療法を受けているファブリー病患者の血清中に存在する抗体には活性を中和するばかりでなく細胞への取り込みを阻害し、これは活性に対する中和抗体価、ELISAで測定した抗体価と正の相関を示した。(2)経口免疫寛容に関しては、以前はワイルドタイプのマウスを用いた実験であり、抗原による免疫はアジュバンドを用いていた。そこで今回はより臨床に近付けるためライソゾーム病の一つであるポンぺ病(α-グルコシダーゼ(GAA)欠損症)モデルマウスを用いて、免疫は20mg/kgのGAAを2週に1回合計10回静脈内投与した。免疫寛容を導入するために酵素は20mg、1mgを一日おきで5回投与した。現在、20mgの高容量投与群では有意に酵素補充による致死的アレルギー反応を予防出来る事が判明した。1mgの低用量群は現在実験中であり平成25年度に結果が判明する予定である。(3)当初平成25年度以降に研究する予定であった抗ヒトCD3抗体(Otelixizumab)による免疫寛容は予定よりヒトCD3抗原発現マウスが早期に入手出来たため実験を開始した。Otelixizumabを10μgもしくは50μgを連日5回ヒトCD3抗原発現マウスに静脈内投与し、3日後よりGAAを20mg/kg週1回合計5回静脈内投与した。現在GAAに対する抗体価を測定中である。(4)酵素とCTB(コレラトキシン・サブユニットB)との融合蛋白は現在、遺伝子組み換え実験を準備中である。大阪大学との共同研究が開始され植物細胞での発現を目指している。(5)酵素の経鼻投与による実験は開始できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
抗体の特徴付けに関しては概ね研究計画通り実験が進みほぼ研究を終了した。今後しかるべき方法で発表予定である。経口免疫寛容導入に関してはCTBとの融合蛋白作成が遅れている。ただ適切な共同研究施設(大阪大学)が見つかり、現在、実験を開始するところである。安価で簡便に融合蛋白を得るため、植物細胞での発現を目指している。また、当初の計画にはなかったが、より臨床に近付けた形の経口免疫寛容導入を行い、良好な結果を得た。経鼻免疫寛容に関しては当施設のマウス飼育の許容量より開始することが出来なかった。平成25年度に開始する予定である。抗ヒトCD3抗体を用いた免疫寛容導入の実験は予定よりヒトCD3モデルマウスの入手が早期になり、実験を開始することが出来た。現在、抗ヒトCD3発現ポンぺ病モデルマウスの作成も視野に入れており当初の計画より進む可能性がある。以上より全体としてはおおむね順調とした。
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Strategy for Future Research Activity |
重要な研究資源を得るため、共同研究先との討議を充実させることが重要である。若干、マンパワー不足であったが、今年度より大学院生も、本研究に参画することになり研究はが推進できると思われる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1)経鼻免疫寛容実験をポンぺ病モデルマウスを用いて開始する予定である。 (2)GAAとCTBの融合蛋白を発現する植物細胞株を樹立し、それをポンぺ病モデルマウスに経口投与する。回数などは現在検討中である。その後、GAAを20mg/kg、2週間に1回、合計10回計静脈的投与し、GAAに対する抗体価の推移を検討する予定である。融合蛋白の植物細胞での発現は大阪大学との共同研究で開始した。 (3)Otelixizumabを用いた実験では10μgもしくは50μgをヒトCD 3 発現マウスに投与して、その後GAAで免疫し、免疫寛容が導入できるかどうかを検討して、Otelixizumabの適切量を決める。その後、適切量のOtelixizumabをヒトCD3発現マウスに5日連続投与し、その後、GAAを20mg/kg、2週間に1回、合計10回計静脈的投与し、GAAに対する抗体価の推移を検討する予定である。 (4)Otelixizumabの効果をポンぺ病モデルマウスで検討するためヒトCD3発現ポンぺ病モデルマウスを作製する。
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