2013 Fiscal Year Research-status Report
p115RhoGEFを標的とする急性骨髄性白血病細胞分化誘導薬開発への基盤研究
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24591540
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 信周 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任助教 (90247007)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川村 猛 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任助教 (70306835)
小笹 徹 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任教授 (70202059)
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Keywords | 細胞分化 / Rho活性化因子 / 核移行 / リン酸化修飾 |
Research Abstract |
3種類あるヒトRH-RhoGEF(guanine nucleotide exchange factor)― RHドメインを有する低分子量G蛋白Rho活性化因子―の一員、Leukemia-Associated RhoGEF (LARG)が、急性骨髄性白血病患者において、MLL(mixed lineage leukemia)の融合パートナーとして同定された(Kourlas et al., 2000)。そこで私達は、”RH-RhoGEF自身が、MLLを介してではなく、直接細胞悪性化や分化に関与する“ という仮説を立て、実際にLARGのホモログ、p115RhoGEFが急性骨髄性白血病細胞の分化に関与している事を見出してきた。H24年度にはATRAによる分化前後のHL60細胞の核、細胞質または細胞膜分画を調整し、独自に開発したp115RhoGEF特異的抗体を用いてショットガンプロテオミクスを行った。この結果から、(1)核にあるp115RhoGEFが特徴的なリン酸化修飾を受けていること、(2)Gα13~p115RhoGEF~RhoAという細胞膜直下で作動するcanonical pathwayとは別に、p115RhoGEFが、核に移行して新規ターゲットRFP( Ret Finger Protein、TRIM27)などと核内蛋白複合体を形成する可能性が示唆された。H25年度には、更に詳細な解析を加え、核移行に必要なリン酸化部位を同定する事ができた。また、リン酸化に応じて、蛋白複合体を形成し、核に移行していくメカニズムを明らかにすることもできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H25年度の研究目的・計画は、 1. p115RhoGEFを核や細胞質に局在を規定する機構の解明 2. p115RhoGEFによる細胞周期調節機構 であった。H24年度施行した、p115RhoGEF特異的抗体を用いた、ATRA分化前後のHL60細胞のショットガンプロテオミクスの結果を基に、候補となるリン酸化部位の解析を行い、細胞生物学的手法・生化学的手法を用いて、核移行に必要なリン酸化部位の同定に予定通り成功した。mitosisの指標となるphospho Histon H3 (Ser10)などと共染色して、細胞周期と核内局在の関係を観察した。細胞周期に応じて核内のp115RhoGEFが更にリン酸化修飾を受ける可能性も明らかにした。研究は予定通り、順調に進んでいると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
核移行に必要なリン酸化部位を同定する事ができた。さらに、リン酸化に応じて蛋白複合体を形成し、核に移行するメカニズムを明らかにすることもできた。加えて、細胞周期に応じて核内のp115RhoGEFが、もう一段階リン酸化修飾を受ける可能性も明らかにした。そこで、H26年度は、 「p115RhoGEFリン酸化による核蛋白複合体形成のダイナミクス:RFP、PMLを含む Nuclear bodyまたは新規ターゲット間の蛋白蛋白相互作用に与える影響と分化の関係」 について解析を行う。 既に私達が同定したリン酸化部位はcyclin-dependent kinase (CDK)の基質となるモチーフを持っていた。実際にCDKによりリン酸化されるのか、p115RhoGEF/CDKの再構成系と、細胞の強制発現系で観察する。 特定されたリン酸化部位の変異体を細胞に強制発現して、免疫沈降法や免疫細胞染色法を用いて、RFP等のターゲットとの相互作用やNBの形態変化を観察する。更に、分化度を表面マーカー細胞( CD11b)等の発現を指標としてフローサイトメトリーによって観察する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H25年度の結果から新たな核内ターゲット分子の存在が示唆された。本分子は核内蛋白複合体形成の重要な調節因子である可能性が出てきた。そこで、Sf9-baculo virusの系、大腸菌の系を用いてこれら構成蛋白を調製することが新たに必要となった。 新たに、新規ターゲット蛋白を含んだ蛋白再構成系を用いたリン酸化実験、RhoGEF活性化実験を行う予定である。繰越金は、Sf9-baculo virusの系や大腸菌の系を用いた蛋白調製のために使用される。変異体蛋白質精製のためのウイルス作製、細胞維持のための費用として使用される。更に、リン酸化実験やRhoA活性化解析のためのアイソトープ購入のための費用に使用される。また、細胞周期や細胞内局在の観察のため蛍光免疫細胞染色を行うための、細胞培養のための消耗品代、各種抗体、細胞周期マーカー、トランスフェクション試薬の購入、lentivirus作製・維持のための費用として使用される。
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[Journal Article] G protein-dependent basal and evoked endothelial cell vWF secretion.2014
Author(s)
RUSU, L., ANDREEVA, A., VISINTINE, D. J., KIM, K., VOGEL, S. M., STOJANOVIC-TERPO, A., CHERNAYA, O., LIU, G., BAKHSHI, F. R., HABERICHTER, S. L., IWANARI, H., KUSANO-ARAI, O., SUZUKI, N., HAMAKUBO, T., KOZASA, T., CHO, J., DU, X., and MINSHALL, R. D
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Journal Title
Blood
Volume: 123
Pages: 442-450
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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