2013 Fiscal Year Research-status Report
小児白血病に対する移植片対白血病効果における細胞傷害因子の臨床応用に向けた研究
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24591544
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
犬飼 岳史 山梨大学, 医学工学総合研究部, 准教授 (30293450)
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Keywords | 白血病 / 造血幹細胞移植 / 移植片対白血病効果 / 細胞傷害因子 |
Research Abstract |
難治性白血病に対する同種造血幹細胞移植では、残存する白血病細胞が移植片対白血病(GVL)効果で免疫学的に排除されることで治療効果が発揮される。そこで本研究では、GVL効果において中心的な役割を担う細胞傷害因子であるTRAILに焦点を当てて、安全にかつ有効にGVL効果を誘導するための手掛かりを探るとともに、 白血病細胞のPerforin感受性とGVL効果との関連性についても明らかにすることを目的とする。 この目的のために、本年度は1.白血病細胞のTRAIL感受性の同種造血幹細胞移植の治療成績に関する前向き臨床研究、2.白血病細胞のTRAIL受容体発現の制御機構に関してc-mycの関与に関する基礎的研究、3.白血病幹細胞のTRAIL感受性における骨髄ストローマ細胞の意義の基礎的研究、4.Perforin感受性に抑制的に機能するPI-9の白血病細胞における発現の意義の研究の4点に関して解析を進めた。 その結果、Ph陽性白血病において、BCR-ABLによるTRAIL受容体の発現維持にc-mycが関与している可能性を見いだした。また、骨髄ストローマ細胞株が白血病細胞のTRAIL感受性に及ぼす影響を解析するために、TRAIL受容体の発現をsiRNAによって抑制した骨髄ストローマ細胞株を樹立し、白血病細胞との供培養において白血病細胞の細胞死を検出できる実験系の樹立にも成功した。PI-9の解析においては、急性リンパ性白血病(ALL)の臨床検体において高いレベルで検出される一方で、ALL細胞株ではPI-9の発現が強く抑制されていることを見いだした。SNPアレイ解析ではALL細胞株におけるPI-9遺伝子の欠失は認められず、脱メチル化剤の処理によってPI-9遺伝子の発現が回復することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1. 白血病細胞のTRAIL感受性の同種造血幹細胞移植の治療成績に関する前向き臨床研究:JPLSGの全国治療プロトコールにおいて、再発および新規のALL症例でTRAIL受容体発現の解析が進行中である。既に予後の判明している東京小児がん研究グループ(TCCSG)の保存検体を用いた解析に関して大学の倫理委員会で承認を受けてTCCSGに研究申請し、受理された。検体が供与され次第解析する予定である。 2. 白血病細胞のTRAIL受容体発現の制御機構に関する基礎的研究:Ph+白血病におけるTRAIL受容体発現の機序を解析するなかで、Philadelphia染色体に由来するBCR-ABLがc-mycを介してTRAIL受容体発現を誘導している可能性を見いだし、慶応大学先端医学研究所と共同研究で解析中である。 3. 白血病幹細胞のTRAIL感受性に関する基礎的研究: TRAIL受容体の発現をsiRNAによって抑制した骨髄ストローマ細胞株を樹立し、白血病細胞とストローマ細胞の共培養においてストローマ細胞を染色することでflow cytometry解析で白血病細胞とストローマ細胞を明確に区別できる実験系の樹立に成功し、解析を進めている。 4. 白血病細胞におけるPI-9の発現レベルの基礎的研究:ALLのほぼ全ての臨床検体でPI-9遺伝子が高レベルで発現されているのに対して、ALL細胞株では過半数においてPI-9遺伝子の発現レベルが著しく低値であった。細胞株が樹立されたALL症例の臨床検体でも高い発現レベルを認めており、PI-9遺伝子の高発現がALLの発症に重要である一方で、株化の過程で高頻度に低下することが示唆された。この株化に伴うPI-9発現の低下が遺伝子のメチル化による可能性を見いだして、プロモーターのメチル化状態を解析している。また、PI-9陰性の白血病細胞株にPI-9遺伝子を導入することで細胞増殖にもたらす影響を解析するべく準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 白血病細胞のTRAIL感受性の同種造血幹細胞移植の治療成績に関する前向き臨床研究:JPLSGの全国治療プロトコールにおいて、再発および新規のALL症例においてTRAIL受容体発現の解析を継続するとともに、TCCSGの保存検体を用いた解析を進める。 2. 白血病細胞のTRAIL受容体発現の制御機構に関する基礎的研究:Ph+白血病におけるTRAIL受容体発現の機序において、BCR-ABLによるc-mycを介する発現調整の詳細に関して解析を、特に細胞周期制御との関連性から発展させる。 3. 白血病幹細胞のTRAIL感受性に関する基礎的研究:低酸素環境および骨髄ストロマー細胞の白血病細胞のTRAIL受容体発現への影響に加えて、抗がん剤の感受性への影響に関しても解析を進めて、抗がん剤耐性の白血病に対するGVL効果におけるTRAILの関与について明確にする。 4. 白血病細胞におけるPI-9の発現レベルの基礎的研究:PI-9遺伝子のメチル化状態の評価とともに、PI-9の細胞増殖への影響を明らかにする。また、TCCSGの保存検体を用いた解析を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
端数が残金となった。 次年度使用額とあわせ物品費として使用する。
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Research Products
(3 results)