2014 Fiscal Year Annual Research Report
弱毒ポリオウイルスを用いた神経芽腫の新しい治療法の研究
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24591547
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
豊田 秀実 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60525327)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 神経芽腫 / ポリオウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
1歳半以降に発症する神経芽腫の予後は不良であり、新しい治療法の開発が強く望まれている。これまで申請者らは、マウス(CD155tgA/Jマウス)を用いた研究でポリオウイルス(以下PV)は神経芽腫細胞(Neuro-2aCD155)に対して強い抗腫瘍活性を持ち、マウスに移植した腫瘍が消失する事を報告してきた。さらに、PVにより神経芽腫(Neuro-2aCD155)が治癒したCD155tgA/Jマウスに神経芽腫細胞株(Neuro-2aCD155とNeuro-2a)を移植したところ、腫瘍の形成は認められなかった。次に、PVにより神経芽腫(Neuro-2aCD155)が治癒したCD155tgA/Jマウスから脾細胞を採取し、神経芽腫細胞株と混合培養したところ、培養上清中のLDH上昇が認められた。しかし、抗腫瘍免疫を獲得していないCD155tgA/Jマウスの脾細胞と神経芽腫細胞株(Neuro-2aCD155とNeuro-2a)を混合培養した培養上清中のLDHは上昇しなかった。さらに、PVにより神経芽腫(Neuro-2aCD155)が治癒したCD155tgA/Jマウスの脾細胞から、CD4, 8, NKのそれぞれの細胞を除去して腫瘍細胞障害実験を行ったところ、CD8細胞を除去したマウス脾細胞は神経芽腫細胞株(Neuro-2aCD155とNeuro-2a)に対し抗腫瘍効果を示さなかった。このことから、神経芽腫をPVで治療することにより抗腫瘍免疫が誘導されることがin vivoとin vitroの実験で証明され、CD8T細胞が抗腫瘍免疫獲得に重要であることが証明された。次に、in vitroでの抗腫瘍効果を確認した。これらの基礎実験をもとに、三重大学病院では、神経芽腫をPVで治療する第1相臨床試験を開始し、現在2人の患者さんを治療した。
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