2012 Fiscal Year Research-status Report
先天性好中球減少症の疾患特異的iPS細胞を用いた新規病態解析・治療開発基盤の確立
Project/Area Number |
24591548
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
渡邉 健一郎 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20324634)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅田 雄嗣 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80397538)
平家 俊男 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90190173)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 骨髄不全 / 好中球 / iPS細胞 / 疾患モデル |
Research Abstract |
HAX1遺伝子異常症の患者より同意を得て皮膚細胞を採取し、そこから得られた皮膚線維芽細胞にOct3/4, Sox2, Klf4, c-Mycの初期化4因子もしくはc-Mycを除いた3因子をレトロウイルスを用いて遺伝子導入し、iPS細胞株を樹立した。次に、この患者由来iPS細胞と正常人由来iPS細胞を好中球に分化させ、両者の比較を行った。May-Giemsa染色での比較では正常iPS細胞では得られた細胞の40%以上が成熟好中球であったのに対し、患者iPS細胞から得られた細胞では成熟好中球の割合は10%以下であり、未熟な骨髄球系の細胞が多くを占めていた。これらの細胞の表面マーカー解析では正常iPS細胞由来血球に比べて患者iPS細胞由来血球では未熟血球マーカーであるCD34の陽性率が高く、骨髄球系の分化マーカーであるCD11bの発現が低いという結果であった。また、好中球特殊顆粒の免疫染色では患者iPS細胞由来血球では正常iPS細胞由来血球に比較して二次顆粒・三次顆粒の構成成分タンパクであるlactoferrin, gelatinaseの陽性率が低かった。さらに、Annexin Vを用いて両者のiPS細胞由来血球のapoptosisの割合を解析したところ、患者iPS細胞由来血球では正常と比較してapoptosisを起こしている細胞の割合が高いことがわかった。これらの結果から、HAX1遺伝子異常症患者由来iPS細胞からの好中球分化系は患者でみられる症状と類似した表現形を示しており、疾患モデルとして有用であることが示唆された。さらに、HAX1を導入するためのレンチウイルスベクターを作成し、HAX1-iPSにレンチウイルスベクターを用いて正常HAX1蛋白を発現させる系を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HAX-1遺伝子異常症の患者よりiPS細胞株を樹立し、好中球分化させると、正常人iPS細胞からの好中球分化と比較し、形態、表面マーカー、好中球特殊顆粒の免疫染色で、成熟好中球の割合が低いことがわかり、HAX1遺伝子異常症患者由来iPS細胞からの好中球分化系は疾患モデルとして有用であることが示された。また、Annexin Vを用いて両者のiPS細胞由来血球のapoptosisの割合を解析したところ、患者iPS細胞由来血球では正常と比較してapoptosisを起こしている細胞の割合が高いことがわかった。さらにHAX1を導入するためのレンチウイルスベクターを作成し、HAX1-iPSにレンチウイルスベクターを用いて正常HAX1蛋白を発現させる系を確立した。当初計画したとおり、HAX1遺伝子異常症患者由来iPS細胞を用いた疾患解析のモデルを確立できている。
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Strategy for Future Research Activity |
HAX1-iPS、HAX1を導入したHAX1-iPS、正常ヒトiPSの好中球分化の過程で、AnnexinV/Propidium Iodideを用いた フローサイトメトリーで細胞死をおこしている細胞の割合を検討する。アポトーシスに伴う生化学的な変化につ いて、ミトコンドリア膜電位、活性酸素産生についてはフローサイトメトリーで、カスパーゼの活性化とBcl-2 family等アポトーシス関連蛋白の発現をWestern blottingにより解析する。細胞死についての解析結果に基づき、抗酸化剤、カスパーゼ阻害剤など細胞死を抑制する作用がある薬剤のHAX1-iPSにおける好中球減少に対する効果について検討する。 HAX1-iPS、HAX1を導入したHAX1-iPS、正常ヒトiPSの好中球分化の過程で、経時的にmRNAを回収し、網羅的遺伝子発発現解析を行い、HAX1異常に伴う好中球減少に関与する遺伝子をスクリーニングする。候補遺伝子に関して real-time PCRで発現の差があることを確認する。候補遺伝子に関して、分子生物学的手法を駆使して、好中球減少との関連を解析する。候補遺伝子がコードする蛋白の作用を調節する薬剤について、その作用を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、本年度確立した系を用いて、コロニーアッセイ、アポトーシスに関与する分子の動態、ミトコンドリア膜電位などミトコンドリア関与について、解析を行う。そのため、iPS細胞の培養、好中球分化に必要な培地、サイトカイン、フローサイトメトリー、免疫染色に必要な抗体、アポトーシスの解析に必要な各種試薬、mRNAや蛋白発現など分子生物学的解析に必要な試薬類などに、主に研究費を使用する計画である。また、情報収集、成果の発表のため、学会参加も予定しており、その旅費にも研究費を使用する。
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Research Products
(2 results)