2012 Fiscal Year Research-status Report
コンピュータ白血病幹細胞システムによる再発動態解析と治療開発への基盤創成
Project/Area Number |
24591562
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
犀川 太 金沢医科大学, 医学部, 教授 (60283107)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小松崎 俊彦 金沢大学, 機械工学系, 准教授 (80293372)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 急性骨髄性白血病 / 白血病幹細胞 / 微小残存病変 / コンピューターシミュレーション / 白血病造血モデル |
Research Abstract |
【研究の目的』本研究は、申請者らがこれまでに開発した「正常好中球造血モデル(コンピュータシミュレーションモデル)」に骨髄性白血病幹細胞を導入した「骨髄性白血病モデル」を用いて、白血病幹細胞の抗がん剤抵抗性と再発のメカニズムを解明することを目的として開始した。 【研究実施計画】平成24年度研究計画:1.「標準型骨髄性白血病モデル(初発モデル)」の完成 2. 抗がん剤を作用させた「寛解導入モデル」の構築 【研究実績】1.標準型骨髄性白血病モデルの完成:H24年度の科学研究費により4機の計算機(PC)のCPUの機能向上を図った。これにより以前(平成20ー22年度科学研究費補助金 基盤研究C)の計算時間は24-30時間/回を要したが改善後5-12時間/回に短縮された。しかし、OSを最新版のwindows 7へ変更したことから、これまでに作成・実施していたプログラムでは実行できず、最新の環境に合わせて改めてプログラムを作り直す作業を行った。白血病幹細胞と非幹細胞性白血病細胞の階層性を変数(パラメータ)として扱い、シミュレーション条件をシステム全体の動態解析から推定する手法(パラメータサーチ)を導入した。まず、白血病幹細胞(LSC)を頂点とし、最終段階の白血病細胞(LC)までに3つの移行段階(白血病前期細胞、LCFU-1~3)を想定した。LSCからLCまでの細胞動態を(1)正常好中球造血に近似させたモデル(遅い成長速度)と(2)短縮させたモデル(早い成長速度)を作成し、シミュレーションを行った。いずれのモデルも途中で白血病幹細胞を維持できず(幹細胞の枯渇)、白血病造血を再現することができなかった。この結果から、白血病細胞の分化時間(通過時間)に加えて分裂回数にもパラメータサーチを導入する必要性が明らかとなった。 2. 抗がん剤を作用させた「寛解導入モデル」の構築:次年度の達成目標となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1. CPUの機能アップとOSの最新版への移行により、これまでの正常好中球造血モデルのプログラムの改良が必要となった。しかし、同時に複数のバグ(データの自動保存関連)の改良も可能となり、改良後の操作性は著しく向上した。 2. 白血病幹細胞と非幹細胞性白血病細胞の階層性の設定において、細胞の分化時間(通過時間)に主眼を置いてパラメータサーチを行った。しかし、白血病細胞が一定数を保つ(恒常性の維持)には分化時間だけではなく、分裂回数も重要な要素であることが判明し、改めてプログラムの追加と改変が必要となった。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 「標準型骨髄性白血病モデル(初発モデル)」の完成:当該年度で明らかとなった「分化時間」と「分裂回数」の関連を検証するために、それぞれ独立に変化可能なプログラムを作成する。まず、正常好中球造血のカウンターパートとして1個の白血病幹細胞のみから白血病造血が成立する条件を検索する。その後正常好中球造血に導入して、標準型骨髄性白血病モデルを完成させる。 2. 抗がん剤を作用させた「寛解導入モデル」の構築:標準型骨髄性白血病モデルの完成後、抗がん剤を作用させた「寛解導入モデル」を構築する。分裂期細胞に抗がん剤によるアポトーシスを導入することで、白血病細胞に優位に作用する抗がん剤の治療効果を再現する。それをもとに、3つのモデル:(1)寛解維持モデル、(2)早期再発モデル、(3)晩期再発モデルを構築する。それぞれのモデルでの白血病幹細胞およびMRDの細胞動態を抽出し、比較することで再発時の細胞動態の違いを検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「該当なし」
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