2013 Fiscal Year Research-status Report
コンピュータ白血病幹細胞システムによる再発動態解析と治療開発への基盤創成
Project/Area Number |
24591562
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
犀川 太 金沢医科大学, 医学部, 教授 (60283107)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小松崎 俊彦 金沢大学, 機械工学系, 准教授 (80293372)
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Keywords | 急性骨髄性白血病 / 白血病幹細胞 / 微小残存病変 / コンピューターシミュレーション / 白血病治療モデル |
Research Abstract |
【研究の目的】本研究は、申請者らがこれまでに開発した「骨髄性造血モデル(コンピュータシミュレーションモデル)」に骨髄性白血病幹細胞を導入した「骨髄性白血病モデル」を用いて、白血病幹細胞の抗がん剤抵抗性と再発のメカニズムを解明することを目的とする。 【研究実施計画】平成25年度は平成24年度の研究で明らかとなった問題点を克服し、抗がん剤を作用させた「白血病治療モデルの構築」を完成させることを到達目標とした。 【研究実績】1.コンピュータシミュレーション環境の効率化:平成24年度の科学研究費により高計算速度の4機のPCを追加導入し、合計6機のPCによる同時並列シミュレーションを実施した。平成25年度はマザー PCを設置し、すべてのPCを一元的に管理する環境を整えた。これによりデータ相互移動の操作性が格段に向上し、データの一元管理と解析が可能となった。 2.抗がん剤を作用させた「寛解導入モデル」の完成:平成24年度の研究では白血病幹細胞(LSC)を頂点とする前駆白血病細胞(L-CFU)から最終白血病細胞(LC)までの階層性構築の適切性が問題となった。そこで、LSC→L-CFU→LCまでの総細胞分裂回数を正常造血と一致させ、各分化段階の細胞の通過時間を正常造血と①一致、②延長、③短縮の3モデルを作成した。この結果、①の条件による白血病モデルにおいて寛解導入モデル(日本小児白血病治療プロトコールAML-05を元に作成)が成立した。 3.上記モデルを用いて全治療(AML-05プロトコール:2回の寛解導入療法と3回の強化療法)を実施する白血病治療モデルを作製した。この条件では早期再発モデルが作成された。 4. 白血病治療モデルの構築:次年度は3つの治癒モデル(寛解維持モデル、早期再発モデル、晩期再発モデル)の完成を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1.平成24年度に実施した最新版Windows OSへのバージョンアップに伴うシミュレーションプログラムの大幅な改定に伴い、達成度は当初の予定からやや遅れている。 2.平成25年度は修正目標である「寛解導入モデル」の作成は達成された。しかし、白血病治療モデルへの構築に際して新たなプログラムの導入が必要であり、そのプログラムの検証に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
1.白血病治癒モデル(寛解維持モデル、早期再発モデル、晩期再発モデル)の完成を目指す。そのためには適切な白血病幹細胞→前駆白血病細胞→白血病細胞の階層性の構築が必要である。具体的には各階層の通過時間と分裂回数を構築パラメータとして変更し、繰り返し検証する必要がある。 2.3つのモデル(寛解維持モデル、早期再発モデル、晩期再発モデル)のLSCの細胞動態を比較する事で微小残存病変の挙動と意義、再発予測因子の抽出を行い、個々の治療開発への基盤理論を構築する。
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