Research Abstract |
小児のウイルス感染喘息の原因・誘因としては、我々や過去の報告からライノウイルスとRespiratory syncytial (RS) ウイルスが重要であると考えられる。本研究では、ウイルス感染気道上皮を用いて、特に好酸球性炎症の役割について検討することを目的とした。 平成24年度は、RSウイルスを、ヒト気道上皮細胞に感染させ、さらにヒト好酸球由来の組織傷害性顆粒蛋白を曝露し、ウイルス感染喘息における好酸球性炎症機構についての解析を行った。その結果、好酸球性顆粒蛋白、特にMajor basic protein (MBP) は、RSウイルス感染気道上皮の傷害を増強すると考えられた。研究2年目の平成25年度は、RSウイルス感染およびる好酸球性顆粒蛋白による気道上皮傷害の機序解明のため、好酸球性顆粒蛋白のうち最も傷害性が強いことが証明されたMBPを用いて、気道上皮の上清中サイトカイン/ケモカイン解析を行った。すなわち、27種類のサイトカインおよびケモカイン (IL-1β, IL-1ra, 2, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 12, 13, 15, 17, IFN-γ, TNF-α, GM-CSF, G-CSF, MCP-1, MIP-1α, MIP-1β, IP-10, Eotaxin, FGF Basic, PDGF-bb, RANTES, VEGF) をBio-Plexによるmicrobeads assay (Bio-Rad) により網羅的に測定した。その結果、RSウイルス感染単独またはMBP単独に比べて、両者により、GM-CSFとIL-17産生のみが有意に増加した。GM-CSFおよびIL-17は、すでに好酸球活性化を来たすことが知られており、RSウイルス感染喘息における好酸球性炎症増悪の病態に関与していることが示唆された。
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