Research Abstract |
2012年度に引き続き、当院に川崎病(KD)で入院した児から、入院時及びガンマグロブリン静注療法(IVIG)施行の前後、シクロスポリン(CsA)内服療法の前後に末梢血検体を得た。これらの検体から、フローサイトメトリー(FACS)を用いて、好中球、リンパ球において、細胞内シグナル伝達物質であるpSTAT1, pSTAT3, pSTAT5の平均蛍光強度(MFI)、顆粒球の細胞膜表面抗原CD177のMFIを測定した。同時に末梢血検体からRNAを抽出し、realtime RT PCR法を用いて、IL2, IL4, IL6, IL10, p38, CD177, IFNG, NFATc1, NFATc2, TGFB1, GCSF, CSF2, CSF3-1, CSF3-2, STAT3, STAT5, SOCS3, CISHのRNAの半定量的測定を行った。2014年3月末で対象患児が36名であった。内訳は、初回IVIG奏功例19例(1st群)、追加IVIG奏功例7例(2nd群)、 CsA投与例10例(CsA群)であった。FACSの検討では、CsA群で、pSTAT3(CD3+, CD16b+)のMFIが共に有意に低下した。また、1st群で、IVIG投与後に、pSTAT3(CD3+, CD16b+)のMFIが低下し、pSTAT5(CD16b+)のMFIが上昇した。1st群と2nd群の比較では、初回IVIG後、1st群でNFATc1発現量が高値であった。realtime RT PCR法での検討では、CsA投与後にNFATc1, c2の遺伝子発現量が共に有意に上昇し、1st群でIVIG投与後にSTAT3, 5A, 5Bの遺伝子発現量が低下し、NFATc1, NFATc2の発現量が上昇した。これらの結果からJAK-STAT経路、NFAT経路が、KDの急性期治療時の免疫応答への関与が示唆された。
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