2014 Fiscal Year Annual Research Report
難治性川崎病に対するNFAT経路遮断薬による新たな治療法開発の試み
Project/Area Number |
24591584
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
武内 崇 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (10246522)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 徳茂 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (10158412)
末永 智浩 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (70433365)
鈴木 啓之 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (80196865)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 川崎病 / シクロスポリンA / NFAT経路 / 細胞内シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
当院で、川崎病(KD)急性期に、2回のガンマグロブリン(IVIG)無効例にシクロスポリンA(CsA)を投与し効果を得ている。CsAはNuclear factor of activated T-cells(NFAT)経路の活性を抑制するが、投与時の免疫応答について未解明な点が多く残っている。 今回の研究では、NFAT経路と炎症性サイトカインシグナル伝達経路であるJAK-STAT経路の関与を明らかにするために、2012年4月から2015年3月の間に、CsA投与例(CsA群、n=10)、初回IVIG奏功例(1st群、n=19)、追加IVIG奏功例(2nd群、n=7)のKD急性期の末梢血を得た。末梢血全血からmRNAを採取し、realtime RT-PCRにて細胞内シグナル伝達物質等の遺伝子発現量を計測し、同時に、末梢血の好中球、リンパ球において、フローサイトメトリー(FCM)でphospho Signal Transducer and Activator of Transcription(pSTAT)3, 5の平均蛍光強度(MFI)の計測を行った。 CsA群で、CsA投与後にNFATc1, c2の遺伝子発現量が有意に上昇し、FCMで末梢血中の好中球、リンパ球のpSTAT3のMFIが有意に低下した。また、1st群で、IVIG投与後にSTAT3, 5A, 5Bの遺伝子発現量が低下し、NFATc1, NFATc2の発現量が上昇した。FCMでは、末梢血中の好中球、リンパ球でpSTAT3のMFIが低下し、好中球でpSTAT5のMFIが上昇した。1st群と2nd群の比較では、初回IVIG後、1st群でNFATc1発現量が高値であった。また、JAK-STAT経路に抑制的に作用するSOCS3の発現や、IL6の発現と関連するp38の発現が、IVIG投与後やCsA投与後に低下していた。 CsA、IVIG共に治療に反応した場合に、NFATc1, NFATc2の発現量が上昇しており、NFATの活性化が抑制されたことにより、ポジティブ・フィードバックが生じてNFATの遺伝子発現量が増加していることが示唆される。また、STAT3, 5, SOCS3, p38の発現量、pSTAT3, 5のMFIの変化を認めたことは、STAT3とSTAT5の経路がそれぞれ、CsA、IVIGの投与に対する免疫応答に関与していることが示唆された。
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