2012 Fiscal Year Research-status Report
亜急性硬化性全脳炎(SSPE)多段階変異発症モデルの構築
Project/Area Number |
24591589
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagahama Institute of Bio-Science and Technology |
Principal Investigator |
伊藤 正恵 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 教授 (10201328)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 麻疹ウイルス / SSPEウイルス / Fusion蛋白 / 細胞融合 |
Research Abstract |
亜急性硬化性全脳炎(SSPE)ウイルスは特有の変異を有する麻疹ウイルス(MeV)変異株であり、感染性遊離ウイルス粒子非産生性と強い細胞融合能を特徴とする。本年度は、SSPE発症6週間後の5歳患児から分離したSSPEウイルス(SSPE-Kobe-1株)の細胞融合能について検討する目的で、融合を担うFタンパク質の活性と変異について詳細に解析し、次の結果を得た。(1) MeV-IchB株Fタンパク質による細胞融合は、Hタンパク質をMeV-IchB株からSSPE-Kobe-1株に換えると減弱した。SSPE-Kobe-1株Fタンパク質による細胞融合は、MeV-IchB株のHタンパク質と共発現させた場合でもMeV-IchB株Fタンパク質よりも強く、Hタンパク質をSSPE-Kobe-1株に換えると更に増強した。(2) SSPE-Kobe-1株Fタンパク質のG401E変異はフリンプロテアーゼ感受性を低下させ、細胞融合を強く抑制した。一方、SSPE-Kobe-1株のG301WおよびY398H変異を導入したMeV-IchB変異株Fタンパク質では細胞融合が亢進したが、SSPE-Kobe-1株よりMeV-IchB株のHタンパク質共存下で強い融合を示した。ところがG301WあるいはY398H変異にG401E変異が加わると、MeV-IchB株よりSSPE-Kobe-1株Hタンパク質共存下での細胞融合がより強く発現した。G401E変異は、MeVがSSPEウイルスに変異する過程で必要なアミノ酸置換である可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度、Ich-B株の各蛋白にKobe-1株に認められるアミノ酸変異を順次導入し、アミノ酸変異の特徴を把握するという目標は、F蛋白については完了した。また、平成25年度以降の予定であった組換えウイルスの作製と増殖様式の検討を開始している。しかし一方で、F以外のウイルス蛋白については、解析の途中であるため、(2)の評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の研究を続けるとともに、それぞれの変異を単独であるいは複数持つ組換え麻疹ウイルスを作製してその性状解析を行い、培養細胞あるいはマウスにおけるウイルス増殖への影響の検討に着手する。(1)持続感染ウイルスを作製して増殖様式を調べ、(2)遊離粒子形成能を欠失させる変異、持続感染成立のための変異を同定する、(3)ウイルス増殖を飛躍的に上昇させる変異を同定し、マウス神経病原性を確認する、ことによりKobe-1株がSSPEウイルスへと変化した過程を分子レベルで明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主に、上記研究を遂行するために必要な、細胞培養用試薬、遺伝子研究用試薬、プラスチック製品や実験動物などの物品費に使用する。
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