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2012 Fiscal Year Research-status Report

ムンプスウイルスにおける病原性発現の分子基盤

Research Project

Project/Area Number 24591592
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

Research InstitutionNational Institute of Infectious Diseases

Principal Investigator

木所 稔  国立感染症研究所, ウイルス第三部第三室, 室長 (00370958)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2015-03-31
Keywordsムンプスウイルス / リバースジェネティクス / 中枢神経病原性
Research Abstract

当該研究の主たる目的は、病原性復帰ムンプスウイルスに存在する、V/PおよびL遺伝子上の2つの変異が病原性復帰をもたらす機構を解明することにある。
そのために、まずそれぞれの変異を別々に導入した変異ウイルスを作製し、いずれの変異が病原復帰に関与するかをラットモデルとMRIの画像解析によって評価した。その結果、いずれの変異によっても元のウイルスr213oriよりも有意に病原性が昂進しており、特にV/P遺伝子変異ウイルスr213Pmにおいてその程度が顕著であった。そこで、r213oriとr213Pmとのラット脳内の感染動態を比較したところ、r213Pmで有意に脳内でのウイルス増殖が昂進していた。また、V/P遺伝子の変異による病原性復帰の機構を知るため、V蛋白質によるインターフェロン誘導の阻害活性への影響を細胞レベルで測定した。その結果V/P遺伝子の変異はインターフェロン誘導の阻害活性に全く影響せず、r213oriとr213Pm由来のいずれのV蛋白質も細胞内標的分子であるSTAT1の分解を誘導してインターフェロン産生を阻害することから、V蛋白質の機能に変化はなかった。
以上の結果から、病原性復帰の主たる原因はV/P遺伝子の変異であり、この変異の結果、ラット脳内でのウイルス増殖が昂進していることが明らかとなった。またこの変異はV蛋白質によるインターフェロン産生阻害活性には関係していないことも判明した。
これまで、わずか1ヶ所の変異がパラミクソウイルスの病原性を大きく変化させるという報告は無く、また、その分子機構は従来知られているV蛋白質のインターフェロン産生阻害によらない新規の機構によるものであることが示唆された。この分子機構の解明はパラミクソウイルスの病原性発現機構に新たな情報を加えることができる可能性がある。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

H24年度は復帰変異に関わる変異の特定が主な目的であったが、その目的を達成することができた。さらには、次年度の実験計画である分子機構の解明にも部分的ではあるが、実験を進めることができた。加えて、H26年度に計画していた大館株とr213とのキメラウイルスの作製もすでに進行中である。
H24年度実施計画の中ではレポーター遺伝子発現ウイルスの作製と、新たなラットの感染経路の検討を予定していたが、レポーター遺伝子発現ウイルスの作製が難航したため進んでいない。しかし、レポーター遺伝子発現ウイルスについては一部作製が済んでおり、H25年度から解析を進めていく予定である。

Strategy for Future Research Activity

V/P遺伝子変異が病原性復帰の主たる要因であることが明らかとなったので、その分子基盤を解明していくことが今後の研究の中心テーマとなる。
具体的には、①他のウイルス蛋白質との相互作用、②宿主蛋白質との相互作用、③ウイルスmRNA転写活性、④ウイルスゲノムRNA複製効率、等の観点から復帰変異導入によるP蛋白質あるいはV蛋白質への影響を細胞レベルで調べる。③④についてはラットの脳内においても検討する。
H26年度は高病原性分離株(大館株)と弱毒化したrY213とのキメラウイルスを作製し、大館株の病原性発現に関わる遺伝子を同定すると共に、その病原性発現機構を解明する。また、現行のワクチンウイルスに病原性発現に関わる復帰変異を持つヴァリアントウイルスが含まれているかどうかを調べ、その病原性とワクチンの安全性に及ぼすリスクを評価する。
具体的には、①大館株と弱毒化したrY213株とのキメラウイルスを作製し、これらを新生ラットの系で評価することにより、大館株で病原性発現に関わる遺伝子を同定する。②これまで明らかになった病原性発現機構の情報に基づき、病原性復帰に関わると想定される遺伝子変異を持つヴァリアントウイルスが現行の国産ムンプスワクチンにどの程度含まれているか定量的解析を行うため、次世代シーケンサによるワクチン株のゲノム解析を行う。③ヴァリアントウイルスが検出された場合には、そのウイルスの病原性を新生ラットにおいて評価する。④こうした復帰変異ヴァリアントウイルスにおいて有意な病原性復帰が認められた場合には、ヴァリアントウイルスがワクチン製造に及ぼすリスクを評価するために、ワクチン株の継代培養によってヴァリアントウイルスの含有率が上昇するか否かを検討し、どの程度までヴァリアントウイルスの含量が上昇すると,ワクチンの安全性に影響を及ぼすかについてもラットの感染モデルを用いて評価する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

主に、H24年度に積み残したレポーター遺伝子発現ウイルスの作製と、新たなラットの感染経路の検討を次年度に行うために用いる。

  • Research Products

    (1 results)

All 2012

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] リバースジェネティクスによって作製したムンプスウイルスの病原性復帰と遺伝的多様性との関連性に関する研究2012

    • Author(s)
      木所 稔、齋加志津子、網 康至、須崎百合子、加藤 篤、竹田 誠
    • Organizer
      日本ウイルス学会
    • Place of Presentation
      大阪
    • Year and Date
      20121113-20121115

URL: 

Published: 2014-07-24  

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