2013 Fiscal Year Research-status Report
小児肝移植後の分子生物学的手法によるEBウィルス感染診断と至適免疫抑制療法の開発
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24591593
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Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
福田 晃也 独立行政法人国立成育医療研究センター, その他部局等, その他 (60455417)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阪本 靖介 独立行政法人国立成育医療研究センター, その他部局等, その他 (00378689)
笠原 群生 独立行政法人国立成育医療研究センター, その他部局等, その他 (30324651)
梅澤 明弘 独立行政法人国立成育医療研究センター, その他部局等, その他 (70213486)
今留 謙一 独立行政法人国立成育医療研究センター, その他部局等, その他 (70392488)
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Keywords | EBウィルス / 小児肝移植 / 細胞障害性T細胞活性 / 免疫抑制療法 / 低侵襲検査法 |
Research Abstract |
国立成育医療センターでは,2005年11月より2014年3月までに270例の小児生体肝移植術を施行しました.不顕性感染を含めて152例(56.3%)が移植後にEBVの定量的PCR解析にて陽性を示したため,免疫抑制剤の減量を行うことによりPTLDの発症を1例も認めていない.一方で免疫抑制剤の減量は拒絶反応の出現につながることを常に考慮しなくてはならず至適な免疫抑制療法を施行するためのモニタリング方法が必要である. 1. 免疫抑制剤の血中濃度以外の新しいパラメーターとして感染リンパ球に対する細胞障害性T細胞活性の測定による患児免疫状態を評価.小児肝移植後におけるCD4陽性リンパ球ATP活性値の推移について検討した.EBV-PCR定量検査にて2.4×10E3copies/mcgDNA以上のゲノムが検出された場合EBV感染ありと定義した.感染・拒絶がなく安定した肝機能を示した際のIK値のinterquartile rangeは85-297 ATP ng/mlであり成人でのrangeより低いことが示された.成人肝移植例ではIK値は感染状態で低値をとり,拒絶反応状態で高値となると報告されているが,今回の我々の検討では小児肝移植例でのEBV感染107例ではIK値が逆に有意に高値をとることが判明した. 2. EBV 感染の診断において乳幼児における血液サンプルの採取には患児の苦痛と充分なサンプル量を得ることができない場合も少なくないため,唾液の採取による定性的EBV-PCRによる非侵襲的なスクリーニング法の開発.血球中EBV-PCR検査にて10×10E4 copies/mcgDNA以上のゲノムが検出された12症例に関して唾液中のEBV-PCR検査にてEBVゲノムが検出することが可能であった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. 移植後レシピエントの血液サンプルを用いた定量的EBV-PCR 検査を施行しゲノム数の変化を追跡する.同時に唾液により得られたサンプルを用いた定量的EBV-PCR 検査を施行し症例の蓄積ができている. 2. T 細胞をはじめとする免疫細胞表面抗原の発現解析をImmuKnow値の測定およびフロー・サイトメトリー(FCM)法を用いて,CTL 活性のモニタリングにより免疫抑制剤投与量の調節を行い,EBV 感染症による移植後リンパ球増殖性疾患に罹患した患児は一人もいない.
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Strategy for Future Research Activity |
従来のカルシニューリン阻害薬の血中濃度のモニタリングに加えて,EBV-PCR のゲノム数,フロー・サイトメトリーを新規マーカーとしてカルシニューリン阻害薬を個々の症例毎に調節し,EBV 感染状態の変化,その他の感染症発生頻度,T-cell のsubset のプロファ イリングにつき検討する.唾液の採取方法の改良,検討が課題である.唾液によりえられたサンプルの定量的EBV-PCR 検査法の検出率と血液中の定量的EBV-PCR 検査の結果とを比較検討し,唾液サンプルによるスクリーニングの可能性の検証を継続する.
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[Presentation] Prevention of Epstein-Barr virus infection after pediatric liver transplantation2013
Author(s)
Akinari Fukuda, Ken-ichi Imadome, Seisuke Sakamoto, Kengo Sasaki, Hajime Uchida, Ikumi Hamano, Takanobu Shigeta, Hiroyuki Kanazawa, Atsuko Nakazawa, Mureo Kasahara, Akira Matsui
Organizer
13th Asian Pan-Pacific Society for Pediatric Gastroenterology, Hepatology and Nutrition
Place of Presentation
Tokyo, Japan
Year and Date
20131101-20131101