2014 Fiscal Year Annual Research Report
心臓形態形成時の細胞増殖・分化転換機構に対するポリコーム遺伝子群の機能解析
Project/Area Number |
24591595
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
白井 学 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (70294121)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ポリコーム遺伝子 / 心臓形態形成 / 発生医学 |
Outline of Annual Research Achievements |
目的:遺伝子ノックアウトマウスを用いた、ポリコーム(PcG)遺伝子Rae28/Phc1、Pcgf5の機能解析を元に、心臓前駆細胞の分化・成熟過程に重要な、細胞増殖・分化の転換機構解明を目指し、更に、この転換機構の破綻がヒト先天性心疾患を生じさせ、PcG 遺伝子がその原因遺伝子である可能性について探索する。 研究実績: Pcgf5遺伝子KOマウスの解析:個体レベルでPcgf5の機能解析を行うために、Pcgf5遺伝子KOマウスのヘテロ個体同士を交配し、ホモ個体を作出した。得られたホモ個体に大きな異常は確認されず、交配能力も維持されていたが、ホモ個体の多くが、生後1年前後で心不全症状を示すことが明らかになった。そこで本年度は、ホモ個体の心臓を機能的、組織学的に詳細に解析することで、心不全症状の詳細を明らかにすることを試みた。その結果、Pcgf5遺伝子KOマウスは、生後6ヶ月目で左室駆出率の減少が認められ、その後、心機能は加齢とともに低下することが明らかになった。生後12ヶ月目のホモ個体の心臓を組織学的に詳細に解析したところ、細胞増殖、細胞死に大きな差はなかったが、線維化の進行、心筋の一部崩壊、心筋線維の肥大が確認された。また、Nppa、Myh7、Acta1遺伝子の発現が大きく上昇し、胎児の心臓で発現する遺伝子群が再発現していることが確認された。以上の研究結果より、Pcgf5遺伝子KOマウスは、当初予想された心臓前駆細胞の分化・成熟過程には大きな影響はなく、成熟心筋細胞の恒常性維持機構が障害を受けている可能性が示唆された。
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