2015 Fiscal Year Annual Research Report
胎盤11ベータヒドロキシステロイド脱水素酵素が胎児発育に及ぼす影響に関する研究
Project/Area Number |
24591596
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
長屋 建 旭川医科大学, 医学部, 講師 (80396382)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 胎児発育 |
Outline of Annual Research Achievements |
胎児胎盤の11βHSD2活性が胎児発育に与える影響を調べるため、初年度は137名の新生児を対象に、胎盤における11βHSD2活性として過去の報告から臍帯血コルチゾール/コルチゾン比(F/E比)を代用し、出生時体格との関係をSGA児とAGA児とで比較検討した。結果は、SGA児において有意に臍帯血コルチゾール値とF/E比が高い結果であった。これはSGA児において、胎盤11βHSD2活性が低い可能性を示唆した。 しかし、臍帯血F/E比が胎盤11βHSD2活性を反映しているか証拠がなく、2年目は30人の新生児を対象に、胎盤11βHSD2活性を胎盤におけるHSD11B2遺伝子発現で評価し、胎児発育との関係を検討した。また、対象のうち22人で出生直後の尿中コルチゾール/コルチゾン代謝物比(以下尿中F/E比)を測定し、胎盤11βHSD2活性の指標になり得るかを評価した。結果は、胎盤HSD11B2遺伝子発現はSGA児で有意に低く、尿中F/E比はSGA児で有意に高かった。しかし両者には相関を認めず、生直後の尿中F/E比は胎盤11βHSD2活性の指標とはなり得ず、胎児自身の11βHSD2活性を反映すると考えられた。 最終年度はさらに検体数を増やして検討し、性差の有無も検討した。 計150人の新生児を対象に、HSD11B2遺伝子発現および尿中F/E比と胎児発育との関係を検討した。結果は、胎盤HSD11B2遺伝子発現はSGA児で有意に低く、出生体重のSDSと出生頭囲のSDSとそれぞれ正相関した。男女別の比較では、胎盤HSD11B2遺伝子発現は女児にのみSGA児で有意に低かった。また、各体格との相関は女児においては出生体重SDS、出生時頭囲SDSで胎盤HSD11B2遺伝子発現と正相関した。尿中F/E比はSGA児で有意に高かく、男女別の比較では、女児にのみその傾向を認めた。 以上から、胎盤11βHSD2と胎児11βHSD2はそれぞれ独立して胎児発育に関与し、SGA児では胎盤と胎児の両者で11βHSD2作用低下していいた。これは特に女児においてその作用が強いことが示唆された。
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