2013 Fiscal Year Research-status Report
スフィンゴ脂質代謝異常による流産のメカニズムの解明と治療薬の開発
Project/Area Number |
24591600
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
水岸 貴代美 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (70518448)
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Keywords | 胎児医学 / スフィンゴ脂質 |
Research Abstract |
同種移植片である胎児が母体内で拒絶されず、平和的に共存するメカニズムは何か?流産が起こるメカニズムは何か?スフィンゴ脂質代謝に異常があり、習慣性流産様の症状を呈するモデルマウスを用いて、この謎に迫る。 1. スフィンゴ脂質代謝経路の遮断によって引き起こされる流産のメカニズム - 流産を引き起こす原因となる分子、特にケモカインやサイトカインに着目し、スフィンゴシンキナーゼ遺伝子改変マウスの解析を行った。その結果、胎児を取り囲む脱落膜領域において、好中球遊走因子の発現が著明に増加していた。さらに、その部位に一致して好中球が異常に浸潤しており、これが胎児の早期死亡の主要な原因と考えられた。 2. 流産の治療薬の開発 - 異常高値の発現を示している好中球遊走因子の阻害剤を妊娠マウスに投与したところ、脱落膜領域の組織障害は軽減し、胎児死亡率の改善がみられた。したがって、この好中球遊走因子は流産の治療の標的となる可能性が示唆された。 3. ヒトの生殖器系におけるスフィンゴ脂質代謝の意義 - 自然流産または人工妊娠中絶により得られた、ヒトの脱落膜組織から脱落膜細胞を単離・培養した後、スフィンゴシンキナーゼの阻害剤を投与した。脱落膜細胞の培養上清を検討したところ、マウスと同様のケモカイン、サイトカインの上昇がみられた。以上の結果より、スフィンゴ脂質代謝はヒトの妊娠の維持にも深く関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に従い、順調に研究を進めており、非常に興味深い結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究成果をまとめた論文を投稿し、現在、査読者に指摘された追加実験を行っている。今後は論文が受理されるように努力する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度中に論文作成に必要なデータがほぼ出揃ったため、残りの研究資金を論文受理に向けた対策費用として残した。 論文受理のために必要な追加実験、論文掲載料に使用する予定である。
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