2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24591605
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
森本 昌史 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10285265)
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Keywords | 頭部MRI / 拡散強調画像 / 新生児 |
Research Abstract |
拡散テンソル画像(diffusion tensor imaging; DTI)は比較的新しいMRIの技術で、通常のMRIでは検出できないような微細な脳障害、特に白質の障害を評価するのに有用な手法である。早産児に合併しやすい脳室内出血は白質障害をきたし、発達に影響することが知られているが、軽微な脳出血については白質障害をきたすかどうかについて見解の違う報告がある。DTIを用い、脳の諸領域の拡散パラメーターを算出し、軽微な脳室内出血のある早産児を脳室内出血のない早産児を対象として比較し、脳室内出血が拡散パラメーターに与える影響を調べた。京都府立医科大学附属病院NICUに入院し、退院前(修正40週前後)のルーチンに施行されている頭部MRI検査に同意し、同意書に署名をしていただいた患者を対象として、得られたMRIの拡散強調画像のデータを解析した。 トラクトグラフィー法のための画像解析ソフトにはPRIDE(Philips社)を使用し、以下の報告の方法で、白質路を描いた(Murakami et al. Pediatrics 2008, Stieltjes et al. Neuroimage 2001, Huang et al. Neuroimage 2005)。運動路、感覚路については関心領域を大脳皮質、内包、橋のそれぞれ解剖学的に運動路、知覚路が走行していると考えられる部位に一定の大きさで設定した。また、小脳脚については、上小脳脚は上小脳脚交叉と歯状核に、中小脳脚は中小脳脚と小脳半球に関心領域を設置して白質路を描出した。描出された各白質路における拡散パラメーター (FA, ADC)を算出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
データ転送システムの契約の問題から、症例数の増加が計画通りにいかなくなっている。3歳時の発達評価まで研究期間内に評価するのは難しく、早産児を対象とした拡散パラメーターのデータを算出し、更に早産児の予後に影響を与える要因として重要性が示唆されている脳室内出血について、特に軽微なものについての有無により白質路の拡散パラメーターに与える影響を調べる目的で、軽微な脳室内出血のある例とない例に分けて各白質路のトラクトグラフィーによる描出と描出された白質路の拡散パラメーターを算出した。また、修正2歳時の神経学的所見から脳性麻痺などの神経学的後遺症の有無について確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までのデータの解析から、脳室内出血の有無で拡散パラメーターに差がある可能性が考えられ、軽微な脳室内出血が早産児の拡散パラメーターに与える影響の解析行う。早産児42例を軽微な脳室内出血のある群とない群に分け、それぞれの拡散テンソル画像のデータからトラクトグラフィー法で運動路、感覚路、上小脳脚、中小脳脚の各白質路を描出し、その拡散パラメーター (FA, ADC)を算出する。脳室内出血の有無、在胎週数の違いで、それらに差がみられるか調べ、未熟性、脳室内出血の有無が白質路に与える影響を検討する。
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