2014 Fiscal Year Annual Research Report
新生児期の栄養環境変化に着目した発達障害ならびに成人期疾患発症機序の解明
Project/Area Number |
24591612
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
桑形 麻樹子 昭和大学, 医学部, 客員教授 (70398684)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴藤 淳子 昭和大学, 医学部, 普通研究生 (10611121)
塩田 清二 昭和大学, 医学部, 教授 (80102375)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | DOHaD / 新生児期栄養環境変化 / マウス / 遺伝子解析 / 自然免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
本プロジェクトではマウス新生児期に母動物の栄養環境を変化させて出生児の遺伝子解析を実施し、胎生期の遺伝子解析結果と併せて評価をすることにより、発達期の栄養環境に起因した発達障害や成人期疾患発症に関与する遺伝子の選抜を試みた。 最終年度である平成26年度は、胎生期低栄養実験によりプロモーター領域のDNAメチル化に変化を受ける肝臓の遺伝子群(Ogawa, Kuwagata et al., 2014)と、本プロジェクトで実施した新生児期低栄養曝露による肝臓の遺伝子発現変動の比較を行い、発達期の低栄養曝露による成人期疾患責任遺伝子の検索を行った。また、新生児期の栄養環境変化は自然免疫系の遺伝子発現を変化させることが明らかになったことから、免疫系器官の形態学的観察を詳細に行った。 新生児期の網羅的遺伝子発現解析の結果、生後7日の肝臓では245個の遺伝子発現に変化がみられ、このうち胎生期低栄養実験によりプロモーター領域のDNAメチル化に変化を受ける遺伝子は37個であった。さらに21個が胎児期と新生児期で低栄養に対する発現が逆方向に変化していたことから、成人期疾患責任遺伝子群の候補として、今後の研究基盤となり得る結果を得た。これらの中には自然免疫系(Cd274, Gbp3, Il1b, Xcl1など)、脂肪代謝(Mrap)、肥満(Sulf2)、糖新生(Sds)に関与するものが含まれていた。 また、形態学的観察では、栄養環境変化後である生後21日に、脾臓のT(CD3陽性)およびB細胞(CD45R陽性)の減少および樹状細胞(Iba-1陽性)の局在に変化が、胸腺では大型のT細胞(CD3陽性)の分布が皮質表層に多く観察された。肝臓ではクッパ―細胞数(Iba-1陽性)の増加がみられた。 これらの結果から、低栄養は胎生期は自然免疫系を劣勢に、新生児期には優勢にさせることも明らかになった。
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Research Products
(8 results)