2014 Fiscal Year Annual Research Report
先天性サイトメガロウイルス感染症の神経障害モデルの開発と新規バイオマーカーの探索
Project/Area Number |
24591616
|
Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
中村 浩幸 独立行政法人国立成育医療研究センター, その他部局等, 室長 (70256866)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 母児感染 / サイトメガロウイルス / 人工多能性幹細胞 / 神経障害 / アポトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
先天性サイトメガロウイルス(CMV)感染症は多様な臓器障害を呈するが、なかでも精神発達遅滞や難聴などの神経学的障害は先天感染児の発育に重大な影響を及ぼす。本研究は、当該疾患における神経学的障害を解析する上で基盤となる新規CMV感染モデルを確立し、その解析により神経学的障害と関連する分子マーカーを同定することを目的とする。 これまでに、ヒトiPS細胞を用いて神経幹・前駆細胞を作製し、神経幹・前駆細胞におけるCMV感染モデルを確立した。また、複数の神経系細胞株についても同様にCMV感染モデルを確立した。さらに、これらの感染モデルを用いた解析により、感染細胞におけるCMV遺伝子産物の発現様式や子孫粒子産生状況、およびCMV感染にともなう細胞障害に関する知見を得た。 本年度は、CMV感染に起因する神経学的障害と関連する分子マーカーを探索する目的で、CMV感染モデルを用いてマイクロアレイ法による網羅的発現解析を行った。その結果、神経系細胞の機能発現に関与すると考えられている細胞遺伝子群について、CMV感染にともなう発現変動を見出した。発現変動を示す細胞遺伝子群の中から、分子マーカーとして有用と推定される遺伝子については蛋白質レベルの発現解析を行った。また、細胞遺伝子発現変動が、神経系細胞に対してどのような影響を及ぼすのかを解析する目的で、神経系培養細胞を用いた一過性の過剰発現系あるいは発現抑制系を構築し、細胞遺伝子発現変動が細胞機能へどのような影響を及ぼすのか解析を進めた。 本研究は、CMV感染モデルを確立する上でのiPS細胞の有用性を示すとともに、確立したCMV感染モデルはCMV感染に起因する神経学的障害の発症機序や神経学的障害に関連する分子マーカーを探索する上で有用と考えられた。
|