2013 Fiscal Year Research-status Report
17型コラーゲンが制御する表皮基底細胞遊走メカニズムの解明
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24591619
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
伊藤 圭 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員研究員 (20421977)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新熊 悟 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00613788)
西江 渉 北海道大学, 大学病院, 講師 (20443955)
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Keywords | 皮膚生理学 |
Research Abstract |
17型コラーゲン(COL17)はヘミデスモゾーム構成分子の一つであり、表皮真皮間接合に重要な生理機能を有する。一方、創傷部位で表皮基底細胞が遊走する際、COL17と細胞外マトリクス間の接合は解除される必要があるが、その詳細は未だ不明である。本研究の目的は、表皮基底細胞の遊走におけるCOL17の生理機能を解明することである。 平成25年度は、平成24年度に作製した“COL17を発現する細胞がGFP蛍光を呈する細胞”を用い検討を行った。これは、COL17-IRES-GFP遺伝子を、レトロウイルスを用いCOL17欠損表皮水疱症患者由来の表皮基底細胞へ導入したものである。タイムラプス観察を行った結果、GFP蛍光を認めないCOL17欠損表皮基底細胞は不規則な遊走を呈し、GFP蛍光を呈するCOL17発現細胞に較べ遊走速度が速いものが目立った。以上の結果から、COL17の発現は表皮基底細胞の遊走に強く影響を与えることが明らかとなった。加えて本結果は、COL17の発現消失によって表皮基底細胞の遊走が促進される可能性を示唆するものであった。 次に実際の創傷治癒部皮膚におけるCOL17の発現形式を検討するために、2例の潰瘍辺縁部皮膚をCOL17に対する抗体による染色を行った。その結果、上皮化先端部の表皮基底細胞ではCOL17の発現が消失ないし減少していた。これは上記in vitroでの観察結果と一致するものであり、表皮基底細胞が遊走する際、COL17の発現を厳格に制御していることを示唆するものであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COL17発現消失表皮水疱症患者から樹立した培養表皮基底細胞とTetシステムによってCOL17の発現制御を行う実験は、細胞が脆弱であったことから進捗が遅れている。しかし研究実績の概要に記載した様に、本研究の一番の目的である表皮基底細胞におけるXVII型コラーゲンの生理機能が解明されつつあるため、研究全体としてはおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に作製し、25年度に用いた“COL17を発現する細胞がGFP蛍光を呈する細胞”を使用し、COL17とラミニン332とのinteractionの生理機能の解明を目指す。具体的には、COL17発現(+)あるいは(-)表皮基底細胞の接着能や遊走能、遊走パターンの違いを、ラミニン332コーティングの有無について解析する。同様に、1型、4型、7型コラーゲン、フィブロネクチンなどの表皮真皮間結合を担う細胞外マトリクスタンパクについての検討を行い、分子レベルで、表皮基底細胞の遊走におけるCOL17の生理機能の解明を目指す。
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Research Products
(2 results)