2014 Fiscal Year Annual Research Report
メラノーマにおける熱ショック転写因子の抗腫瘍効果解析と治療的応用の検討
Project/Area Number |
24591627
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
中村 好貴 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (00448292)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武藤 正彦 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40175625)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | Heat shock factor 1:HSF1 / 熱ショック因子 / 悪性黒色腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
癌細胞は熱ショック応答を強く発現させて、それを利用することで、ストレス条件下でも増殖できることが解明されてきており、様々な組織由来の癌細胞の増殖が熱ショック因子(Heat shock factor 1:HSF1)に依存することが示され、近年HSF1が癌治療の新しいターゲットとして注目を集めるようになってきている。 これまでにわれわれは、ヒトメラノーマ細胞の生存、増殖にはHSF1が必要であり、HSF1をノックダウンしたヒトメラノーマ細胞では、温熱処置に対する抵抗性が減弱することを明らかにしてきた。また、最近の研究によりHSF1はメラノーマの浸潤誘発に必要な因子の1つであると報告されているが、HSF1がメラノーマの腫瘍的性質、すなわち増殖能、浸潤能および転移能にいかに関わっているか、その生物学的機能は十分には解析されていない。 今回われわれは、ヒトメラノーマ細胞(HMV-I、MeWo、HMV-II)にshort hairpin RNA(shRNA)発現アデノウイルスを感染させ、HSF1をノックダウンした。HSF1をノックダウンしたヒトメラノーマ細胞では、Wound-healing assay、Migration assayおよびInvasion assayにおいて、遊走能、浸潤能の低下が認められた。また、HSF1をノックダウンした後に、HSF1を再発現させると遊走能、浸潤能は回復した。さらに、HSF1をノックダウンしたヒトメラノーマ細胞をヌードマウスに皮下注射したところ、腫瘍形成が抑制されるだけでなく、腹腔内への浸潤、肺への転移も抑制された。 以上の結果より、ヒトメラノーマ細胞においてHSF1は増殖能、遊走能および浸潤能の維持に関与しており、HSF1を制御することはメラノーマ治療の有望な標的の1つになりうることが示唆された。これらの研究成果は学会で報告し、論文として発表した。
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Research Products
(10 results)