2014 Fiscal Year Annual Research Report
世界初の新規樹立細胞株による基礎的研究:乳房外ページェット病の抗男性ホルモン療法
Project/Area Number |
24591640
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
辛島 正志 久留米大学, 医学部, 講師 (70211175)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 隆 久留米大学, 皮膚細胞生物学研究所, 教授 (20129597)
古村 南夫 久留米大学, 医学部, 准教授 (10315070)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 乳房外ページェット病 / 男性ホルモン / アンドロゲン受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
乳房外ページェット病は、その由来や、その他細胞生物学的な解析が現在まで多くの点が不明である。その理由として、がん研究に必須である、細胞株がこれまで存在しなかったことが大きな原因である。申請者らは本疾患患者病変部由来の細胞株を樹立することに世界に先駆けて成功した(EMPE cell)。現在のところ本疾患はアポクリン腺由来の腺がんとされており、乳がんもしくは腺がんに準じた抗がん剤を用いる化学療法がなされている。しかし、乳がんその他腺がんに有効な抗がん剤は本疾患に対しては有効率が低いことが問題となっている。すなわち、本疾患は腺がんのなかでも、その他の腺がんとは異なる特異な性質をもつがんと考えられる。今回、われわれが樹立した乳房外ページェット病細胞株を用いてその細胞生物学的な検討、特に増殖因子について検討をおこなった。本疾患はその一部の症例では男性ホルモンリセプター(AR)が発現しており、EMPE cellもARを発現している。そのためin vitroの系でEMPE cellにおける男性ホルモンの増殖活性の有無について検討した。その結果、EMPE cellは、細胞培養系において男性ホルモン依存性の増殖を示すことが、われわれの研究により確認された。EMPE cellは男性ホルモン依存性の増殖を示す一方、他の増殖因子、EGFについて検討した結果、EMPE cellはEGFの主たるレセプターであるEGFレセプターの発現がないにもかかわらず、EGFは強い増殖促進効果を示した。ARはリガンドである男性ホルモンにより活性化されるが、それとは別経路で、EGFなどの増殖因子がリガンド非依存的にARの活性化を起こすことが知られており、EMPE cellにおいてはEGFなどの増殖因子による別経路のリガンド非依存的なARの活性化が主経路である可能性が示唆された。
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