2012 Fiscal Year Research-status Report
酸化ストレス応答因子Nrf2が光老化および表皮角化に果たす役割の解明
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24591642
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
川内 康弘 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (00272196)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 光老化 / Nrf2 / 紫外線 / 皮膚 |
Research Abstract |
1回170mJ/cm2x3回/週の繰り返しUVB照射をNrf2ノックアウトマウスおよび野生型マウスの背部皮膚に対して36週間行ない、光老化の程度を比較検討した。その結果、Nrf2ノックアウトマウス背部のレプリカにおいて、有意に多く光老化に特徴的な彫りの深いしわの形成がみられた。レプリカの画像解析ソフトによる解析でも、Nrf2ノックアウトマウスでは、Nrf2ノックアウトマウスでは、有意に表皮肥厚、真皮弾性繊維束の変性・断裂が観察された。統計学的に有意にシワ深度、シワ総面積、シワ頻度において皮膚老化の亢進が証明された。病理組織学的には、また、キュートメーターによる機器計測により、Nrf2ノックアウトマウスにおいて有意に皮膚の柔軟性が失われ、真皮浅層にグリコサミノグリカン (GAG)の沈着がみられた。これらの所見は光老化の所見と一致した。また、Nrf2ノックアウトマウスおよび野生型マウスで紫外線照射後の抗酸化因子濃度を測定・比較すると、Nrf2ノックアウトマウスにおいて有意にグルタチオンなどの抗酸化因子が減少していた。これらの結果により、Nrf2ノックアウトマウスでは、Nrf2によって発現がコントロールされているグルタチオンやヘムオキシゲナーゼ-1などの抗酸化因子が減少することによって、皮膚細胞のDNA、タンパク質、脂質などが酸化変性し、これらの酸化状態の蓄積により光老化が亢進したと推測された。逆に考えれば、Nrf2は健常皮膚においては光老化を抑制・緩和する働きをしていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は、計画通りおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は当初の計画通り研究が進展しており、特に次年度に持ち越す実験もないため、次年度では当初の予定通りNrf2ノックアウトマウス由来のケラチノサイトを用いて、酸化ストレスがケラチノサイトの分化にどのような影響を与えるかを検討する計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は176,606円の残額が発生した。これは、当初予定していた3種類の抗体を購入・使用する必要がなくなったため、その分が残額となったからである。次年度分の助成金は、この繰越額と合わせて、ケラチノサイトの三次元培養のための試薬や血清の購入にあてる予定である。
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Research Products
(2 results)