2013 Fiscal Year Research-status Report
酸化ストレス応答因子Nrf2が光老化および表皮角化に果たす役割の解明
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24591642
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
川内 康弘 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (00272196)
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Keywords | 光老化 / Nrf2 / 紫外線 / 皮膚 |
Research Abstract |
酸化ストレス応答系Nrf2-Keap1は、酸化ストレスに対して細胞が対抗する中心的システムとして最近同定された細胞内シグナル伝達系であり、細胞が酸化ストレスに暴露されると活性化し、抗酸化・生体防御蛋白の発現を活性化する経路であり、酸化ストレスから細胞を保護する主要な経路である。一方、紫外線(以下UV)照射は、細胞のDNAを直接傷害することにより、発癌や老化を引き起こすものと従来から考えられてきた。しかし、近年、UV照射は、NOや活性酸素などの酸化ストレス物質の強力な細胞内発生刺激であることが知られてきており、UVの細胞傷害作用、発癌性、老化原性は、UVのDNAに対する直接的障害作用だけではなく、UV照射によって発生した活性酸素等の酸化ストレスに起因することがわかってきている。そこで本研究では、マウス個体を用いて、UVB照射に対する皮膚組織の生体防御機構におけるNrf2の役割をin vivoで明らかにした。背部を剃毛したNrf2ノックアウトマウスと野生型マウスにUVBを4ヶ月にわたって照射した後、同部から皮膚生検し、表皮の分化の違いについて検討した。その結果、Nrf2ノックアウトマウスの表皮は有意に肥厚していた。さらに分化マーカーについて比較したところ、Nrf2ノックアウトマウスでは、ケラチン1やケラチン10、インボルクリン、ロリクリンなどの分化マーカーの発現が野生型マウスに比べて減弱していた。すなわち、Nrf2ノックアウトマウス表皮ではUVB照射後の表皮分化が抑制され、未分化状態に傾いていることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は、計画通りおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は当初の計画通り研究が進展しており、次年度は予定通りNrf2ノックアウトマウス由来のケラチノサイトを分離・培養し、in vitroで老化マーカーについて検討する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定していたケラチノサイトの三次元培養を行う必要がなくなり、その分の試薬・材料費が残額となって残った。 次年度に、ケラチノサイトのFACSを行う際の経費として使用する計画である。
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Research Products
(1 results)