2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24591644
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
長谷川 稔 金沢大学, 大学病院, 講師 (50283130)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 強皮症 / サイトカイン |
Research Abstract |
全身性強皮症患者のその後の症状の進行を予測する指標を検索するために、末梢血中において、さまざまなケモカインの濃度を、cytometric beads arrayにて測定した。その結果、初診時のCXCL8の濃度がその後の身体機能の低下と相関することが明らかとなり、病勢の予測に有用な可能性が示唆された。 また、ブレオマイシン誘導性強皮症モデルにおける各サイトカインの役割をサイトカインの遺伝子欠損マウスを用いて検討したところ、Interleukin (IL)-17Aがinterferon-gammaやIL-4よりも炎症やそれに引き続く線維化に重要であることがわかった。IL-17A欠損マウスではリンパ球やマクロファージの浸潤が著明に減少していた。その機序として、IL-17Aは接着分子のひとつであるintercellular adhesion molecule-1 (ICAM-1) の発現誘導に関与している可能性が示唆された。また、IL-17A欠損マウスの皮膚でコラーゲン沈着が増加している機序についても検討した。ブレオマイシンの連日皮内注射により皮膚でのtransforming growth factor (TGF)-betaやconnective tissue growth factor (CTGF) などの線維化に重要な成長因子の発現が誘導されるが、IL-17Aの欠損により、それらの発現誘導が顕著に抑制されることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
強皮症患者の血清中のケモカインの測定と解析は、予定通りに進行し、大変興味深い結果が得られている。 また、マウスを用いた実験においても、ブレオマイシン誘導性強皮症モデルにおいて、IL-17Aが皮膚の線維化に重要であることがわかり、本研究の今後の発展性が見込まれる。
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Strategy for Future Research Activity |
ブレオマイシン誘導性強皮症モデルにおけるサイトカインの役割を、in vivo、in vitroの検討により詳細に検討していく。また、タイトスキンマウスモデルにおいても、同様に遺伝子欠損マウスとの掛け合わせによって、各サイトカインの皮膚線維化への役割を検討していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度に予定していた皮膚硬化の病態解析に関するマウスの研究の一部を次年度に行う予定としたため、それに伴う費用は次年度に繰り越しとした。次年度は、マウスの飼育費に加えて、マウスの実験の解析に用いるPCR、ELISA、フローサイトメトリー、組織染色などの試薬や抗体の購入に用いる。他に、培養細胞の入手、維持やそれに関する実験の試薬の購入に使用予定である。
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