2012 Fiscal Year Research-status Report
アクアポリン9が炎症性皮膚炎発症に果たすKey Role
Project/Area Number |
24591648
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹馬 真理子 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40531736)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮地 良樹 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30127146)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | Aquaporin |
Research Abstract |
表皮ケラチノサイトにおけるアクアポリン9(AQP9)の機能解明を目的としている。内因性サイトカインが誘発するケラチノサイト分化・増殖制御や表皮バリア機能形成に、AQP9発現が関与していることを仮説としている。ヒト培養ケラチノサイト、ならびにAQP9遺伝子欠損マウスを用い、当該期間中に以下の項目を実施した。 ① ヒト由来培養ケラチノサイト(NHEKs)におけるAQP9遺伝子ノックダウンの影響を検討 AQP9発現の細胞増殖・分化への関与を調べるため、NHEKs を用い、AQP9遺伝子ノックダウンの、表皮細胞増殖あるいは分化マーカー遺伝子への影響を調べた。表皮バリア機能への影響は、タイトジャンクション関連遺伝子を比較することで検討した。また、表皮細胞分化に影響を与えるサイトカイン(IL-17, IL-22など)の上述因子への影響を、AQP9遺伝子ノックダウンとコントロール細胞にて比較解析した。 ② AQP9遺伝子欠損(AQP9-KO)マウスの供給体制確立、および炎症性皮膚炎モデルでの予備検討 AQP9-KOマウスは、海外研究協力者のRojek博士(Aarhus University、デンマーク)から入手し、供給体制を確立した。本マウスを用い、炎症性皮膚炎モデルである乾癬モデル、アトピー性皮膚炎モデルを実施し、野生型マウスと発症頻度を比較した。両モデルで、AQP9発現欠損による、表皮細胞の著しい機能低下は見出されなかった。一方、AQP9が発現している免疫細胞(好中球、マスト細胞)では、AQP9発現欠損により種々の機能低下の可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定どおり、AQP9遺伝子ノックダウン細胞およびAQP9遺伝子欠損マウスを用いた実験系を立ち上げ、種々の検討を実施した。培養細胞を用いた実験からは、AQP9発現の表皮細胞分化・増殖への関与について、検討を実施した。AQP9遺伝子欠損を用いた実験からは、皮膚炎発症過程の免疫細胞でAQP9が機能を有している可能性が見出された。これらは、次年度以降の研究の方向性を決定する重要な結果となった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初は、表皮細胞に発現するAQP9を研究ターゲットに据えていたが、今後は、AQP9が発現している免疫細胞にも着目し、皮膚炎発症過程での表皮細胞および免疫細胞に発現するAQP9の役割を検討していく。初めに、皮膚炎発症に関与する免疫細胞(T細胞、樹状細胞、好中球、肥満細胞など)におけるAQP9の発現を確認する。次に、AQP9を発現する免疫細胞を用い、AQP本来の機能である水透過、グリセロール透過、またAQP9を介した透過が報告されている種々の低分子化合物(砒素など)の透過を検討する。 さらにAQP9遺伝子欠損マウスを用い、接触皮膚炎モデルを実施し、発症頻度を野生型と比較する。AQP9遺伝子欠損マウスおよび野生型マウス由来の免疫細胞を用い、細胞増殖あるいは細胞遊走へのAQP9発現の役割を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当研究では、実験動物を多数使用するため、これら繁殖維持に必要な費用を計上している。京都大学医学部動物実験施設でのマウスの維持には、施設の飼育維持費(AQP9マウス分、年間30万円)、ジェノタイピングを行うための合成オリゴや、PCR試薬(マウスDNA解析用試薬:年間10万円)が必要である。 試薬費は、マウス表現系解析のため免疫染色・ウエスタンブロッティングのための抗体、PCR解析のための試薬、細胞レベルでの解析には細胞培養用試薬(液体培地、ウシ胎児血清など)を必要とする。これらの消耗品費として、年間平均70-80万円程度を計上している。 旅費に関しては、研究成果の発表、および研究者間交流のための学会参加費であり、妥当な金額を計上している。
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Research Products
(1 results)