2013 Fiscal Year Research-status Report
アクアポリン9が炎症性皮膚炎発症に果たすKey Role
Project/Area Number |
24591648
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹馬 真理子 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40531736)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮地 良樹 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30127146)
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Keywords | アクアポリン / 接触皮膚炎 |
Research Abstract |
表皮ケラチノサイトに発現するアクアポリン9(AQP9)の機能解明を目的とし、2012年度より研究に着手した。昨年度までに、ヒト培養ケラチノサイトおよびAQP9遺伝子欠損(AQP9-/-)マウスを用いた検討から、ケラチノサイトに発現するAQP9は、表皮細胞分化・増殖およびバリア機能に大きく関与していないことを見出した。一方、AQP9-/-マウスを用いた種々の炎症性皮膚炎モデルによる予備実験から、免疫細胞に発現するAQP9が、何らかの機能を有する可能性が示された。これらの結果から、本年度は、免疫細胞(好中球、肥満細胞、T細胞)に発現するAQP9の機能を検討することとした。 ハプテン(DNFB)誘発による接触皮膚炎反応(CHS)を、野生型(WT)およびAQP9-/-マウスを用い検討した。AQP9-/-マウス皮膚では、発症程度を表す耳介浮腫が、WTマウスと比較して有意に抑制され、WTで認められる好中球およびT細胞の皮膚への浸潤が抑制していた。 CHSは、DNFB塗布後5日間の感作相と、DNFB再塗布により誘発される惹起相から成る。感作相を詳細に調べたところ、AQP9-/-マウスでは、リンパ節由来細胞のIL-17産生が低下しており、感作成立が抑制されていた。また、リンパ節由来細胞によるIL-17産生が、好中球中和抗体の投与で阻害されたことから、好中球がIL-17産生に関与していると考えられた。また、DNFB塗布5日後のリンパ節内の好中球の細胞数が、AQP9-/-マウスでは減少していた。さらに、好中球あるいはT細胞の移植実験から、AQP9-/-マウスでのCHS抑制の要因が好中球である可能性が示された。 以上から、AQP9-/-マウスでのCHS抑制は、好中球が原因である可能性を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初は、表皮ケラチノサイトでのAQP9遺伝子の機能解明を目的としていたが、初年度の研究結果に基づき、免疫細胞でのAQP9遺伝子の機能解明に着手することとした。 AQP9遺伝子欠損マウスを用いた接触皮膚炎モデルの結果から、好中球に発現するAQP9が、接触皮膚炎の感作成立に関与していることを見出した。好中球でのAQP9の機能は未だ明確になっていないが、好中球の代表的な機能であるケモタクシス能、貪食能、アポトーシスには関与しておらず、IL-17産生に関与していることを見出せた。
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Strategy for Future Research Activity |
好中球におけるAQP9の機能を検討する。特に、接触皮膚炎反応において、AQP9がIL-17産生にどのように関与しているかを明らかにする。接触皮膚炎の感作成立におけるIL-17産生担当細胞の検討と、AQP9発現との関連性を検討するほか、好中球と樹状細胞、あるいはT細胞との相互作用におけるAQP9の役割を検討する。
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