2013 Fiscal Year Research-status Report
ライブイメージングを用いたアトピー性皮膚炎病態解析と新規病態制御因子の同定
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24591650
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
本田 哲也 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40452338)
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Keywords | アトピー性皮膚炎 / 生体イメージング / 皮膚樹状細胞 |
Research Abstract |
本研究はアトピー性皮膚炎マウスモデルをもちいて、生体イメージングにて皮膚Th2細胞や皮膚樹状細胞の動態解析を行い、新規病態制御因子を同定することを目的としてスタートした。平成24年度はTh2細胞の誘導条件とその生体イメージング法を確立することに主眼をおいた。in vivoでTh2細胞を誘導することが困難であったため、in vitroでTh2細胞を誘導し、それをマウスにトランスファーすることでTh2細胞の生体イメージングに成功した。平成25年度はそれを更に発展させT細胞動態の詳細な解析を試みたが、Th2細胞の十分な分化条件と、移入Th2細胞の皮膚への浸潤条件を整えることが困難であった。よって解析の主体をTh2細胞から樹状細胞へシフトし、その動態解析を試みた。皮膚樹状細胞の基礎動態をCD11c-YFPマウス(樹状細胞がYFPの蛍光を発色するよう遺伝子改変されたマウス)を用いて生体イメージングを施行し、平均2-3μm/minのスピードでランダムに遊走している様子を確認した。皮膚樹状細胞は皮膚免疫反応制御に極めて重要な役割を果たしており、その動態を制御することは免疫反応の調節につながることが予想された。樹状細胞機能を制御する因子のうち、脂質メディエーターの一種、resolvinE1(RvE1)に着目し、樹状細胞動態に対する効果を生体イメージングで確認したところ、RvE1の投与は皮膚樹状細胞の動態を有意に減弱した。RvE1は、皮膚からリンパ節への樹状細胞の移動を有意に低下した。Th2型皮膚炎はハプテンの皮膚への反復暴露が誘導すると考えられている。よって皮膚にハプテンを塗布し、その皮膚炎へのRvE1の効果を検討したところ、RvE1の投与はその皮膚炎の程度を有意に抑制していた。すなわち、RvE1は皮膚樹状細胞動態を負に制御し、Th2型皮膚炎を制御する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初に着目したTh2型細胞の動態解析は、安定した実験条件を設定することが困難であったため樹状細胞の解析にシフトしたが、樹状細胞動態を制御する因子としてResolvinE1を同定し、その効果をin vivoとin vitroとで確認することに成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞の動態はCdC42, Rac, Rhoなど細胞骨格制御因子によって大きく制御される。ResolvinE1がこれらの因子にどのような作用を及ぼすかをWestern blottingなどで検討する予定である。またResolvinE1がどのような受容体を介して作用を発揮するか、各種インヒビターを用いて検討予定である。
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Research Products
(1 results)