2013 Fiscal Year Research-status Report
iPS細胞を利用してアトピー性皮膚炎におけるフィラグリンの関わりを評価する試み
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24591651
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
井川 健 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 講師 (00372441)
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Keywords | ヒトiPS細胞 / TALENs / ケラチン遺伝子 / フィラグリン遺伝子 |
Research Abstract |
ヒトiPS細胞における遺伝子編集を行うためのツールとして、TAL effector nucleases (TALENs)を作成するシステムについては、24年度に確立した。本年は、まず、そのTALENsを用いて、ヒトiPS細胞において遺伝子編集をおこなった。 ヒトiPS細胞から表皮角化細胞を誘導する方法については、すでに確立しているが、有効に誘導する方法についてはまだ検討する余地ある。その方法を検討するため、あるいは、その後の研究に必要となる、ケラチン遺伝子のOn/Offを客観的に観察することができるようにすることを考えた。そこで、ヒトiPS細胞において、ケラチン14遺伝子の下流にeGFP遺伝子を挿入することとした。そのために、ケラチン14遺伝子を切断するTALENsとeGFPレポーター遺伝子を有するドナーベクターを作成し、ヒトiPS細胞にリポフェクションにより導入した。抗生剤選択でenrichされたコロニーを拾って検討したところ、予想通りにケラチン14遺伝子の下流にeGFP遺伝子が挿入されたヒトiPS細胞が確立された。 このシステムが動くことを確認するため、上記のようにして確立されたiPS細胞を表皮角化細胞に分化させる実験を行い、eGFPが発現し、しかもその発現が実際にケラチン遺伝子の発現と同期していることを確認した。 また、本来の目的である、ヒトフィラグリン遺伝子について、TALENsを作成した。上記のケラチン遺伝子の下流にeGFP遺伝子が挿入されているヒトiPS細胞において作成されたヒトフィラグリン遺伝子-TALENsをトランスフェクトし、実際にフィラグリン遺伝子が切断され、ノックアウトされたか否かを検討中である。そのために、そのようなヒトiPS細胞を再度表皮角化細胞に分化させ、最終分化の際にフィラグリンの発現が阻害されているかどうかを検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分化実験におもったよりも時間がとられるために、少々おくれがみられるが、おおむね順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
フィラグリンのKOされたiPS細胞とそうでないiPS細胞を同時に表皮角化細胞に分化させ、そうして得られた表皮角化細胞について、刺激に対する反応性などを、サイトカインアレイなどをもって網羅的にチェックする。 そのようにしてまず、フィラグリン遺伝子がKOされることが表皮角化細胞にとってどのような意味合いをもつのかを検討することを目標とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
もともと前年度に繰り越した額があったため、それがずれている状態である。研究自体は本年度でほぼ予定通りに復帰したため、次年度以降に多額の支出が予測される、サイトカインアレイなどの受託研究を行う予定である。 本年で本来の予定に追いついたかたちであり、多額の支出が予測される外部受託による研究を施行していく予定である。
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Research Products
(2 results)