2013 Fiscal Year Research-status Report
チオレドキシンとその誘導物質による皮膚炎治療薬の開発に関する研究
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24591652
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
福永 淳 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (10467649)
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Keywords | 皮膚炎症 / チオレドキシン / 接触皮膚炎 |
Research Abstract |
アトピー性皮膚炎を代表疾患とする湿疹・皮膚炎は皮膚科を受診する患者の約40%を占める最も頻度の高い疾患である。またアトピー性皮膚炎は40歳以下における有症率が約10%と生産年齢における罹患率が非常に高い国民的疾患といえる。しかしアトピー性皮膚炎治療の薬物療法の中心であるステロイド・免疫抑制剤外用療法には無視できない特有の副作用があり、多く患者の症状のコントロールが不十分でQOLが損なわれている。我々は以前にチオレドキシン(TRX)を過剰発現させたTRXトランスジェニックマウスで接触過敏(CHS)反応やクロトンオイル皮膚炎反応が抑制される事、ヒトリコンビナントTRX(hrTRX)腹腔内投与によりこれらの皮膚炎反応が抑制される事を報告している。以前は腹腔内投与という臨床的に応用しにくい投与方法で皮膚炎の抑制を観察したが、今回の一連の研究ではhrTRXを外用することでマウスにおける一次刺激性皮膚炎反応を抑制できることを確認した。またマウスにhrTRXを塗布もしくは噴霧することにより一次刺激性皮膚炎反応が抑制できた機序には局所皮膚における各種ケモカイン、前炎症性サイトカインの抑制が重要であることがわかった。GGA(ゲラニルゲラニルアセトン)はTRXの誘導物質として報告されているが、本年度の検討ではマウス皮膚へのGGAの塗布、マウスケラチノサイトへの添加によるマウスTRXの誘導は確認できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TRXの誘導物質による皮膚炎抑制の実験に関しては候補薬であるGGAがマウスTRXを誘導することを確認できなかったため計画の再考が必要であるが、hrTRXの外用によるマウス皮膚炎モデルの検討は順調にすすんでおり、その抑制における分子レベルでの機序も検討し論文化に成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
TRXの誘導物質の検討に関しては他の候補薬について検討する必要がある。候補薬によりマウス皮膚、マウスケラチノサイトからTRXが誘導されることを確認したのちに、マウス皮膚炎モデルでの症状抑制効果を検討する予定である。 さらに、hrTRXのマウスへの塗布、噴霧で皮膚炎が抑制できることが証明されたので、アトピー性皮膚炎患者におけるTRX外用効果の検討を行うために当院倫理委員会の承認を得ている。hrTRX含有クリームと含有していないプラセボクリームをボランティアである健常人の上腕内側にパッチテスト用絆創膏を用いて48時間クローズドパッチテストを行い、除去後1時間後、24時間後に貼付部位の発赤などでパッチテスト判定を行い、hrTRX含有外用剤の皮膚における安全性を確認する。上記試験で安全性が確認された後に、神戸大学医学部附属病院に通院中のアトピー性皮膚炎患者を被験者として外用試験を行う予定である。被験者はhrTRXを含有しているクリームと含有していないプラセボクリームを皮疹が同程度出現している左右の皮膚に4週間外用する。外用前後でかゆみと皮膚所見を評価することで臨床的有用性を検討同時に外用時に生じた副事象を観察することで再度安全性の確認を行う。上記試験は二重盲見法で施行する。さらに治療の前後の局所皮膚における角層をテープストリッピングで回収し、角層のサイトカインを蛍光抗体法やELISAを用いて定量する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度の実験計画において、当初予定していたマウスを用いた実験が完全に完了せず次年度にマウスを用いた実験計画が延長したことより予定より本年度の実験費用が少なくなった。 次年度においては野生型マウスを用いた実験を多く行う事や、健常人のボランティアへのhrTRX製品のパッチテストやアトピー性患者へのhrTRXの塗布実験計画を想定しているため、その製品の製作・調整や健常人ボランティアへの謝金などが発生するため今年度より費用がかさむことが想定される。また、最終年度であるため実験結果の学会での発表や論文化にも費用がかかることが想定される。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Onychomycosis as a Warning Sign for Peripheral Arterial Disease.2013
Author(s)
Fukunaga A, Washio K, Ogura K, Taguchi K, Chiyomaru K, Ohno Y, Masaki T, Nagai H, Nagano T, Oka M, Nishigori C.
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Journal Title
Acta Derm Venereol.
Volume: 93
Pages: 747-748
DOI
Peer Reviewed
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