2012 Fiscal Year Research-status Report
EBウイルス感染リンパ球の再活性化が誘発する宿主免疫応答と皮膚病変の解明
Project/Area Number |
24591653
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
岩月 啓氏 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (80126797)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | EBウイルス / 種痘様水疱症 / 蚊刺過敏症 / 慢性活動性EBウイルス感染症 / 血球貪食症候群 / γδT細胞 / 再活性化 |
Research Abstract |
EBウイルス(以下、EBV)関連T/NKリンパ球増殖症について、当初の研究計画に従い次の研究を実施し、各々の結果を得た。 1)患者末梢血および皮膚病変におけるEBV感染リンパ球サブセット解析:種痘様水疱症ではEBV感染γδT細胞数が、蚊刺過敏症ではNK細胞が病態と関連していることを見出した(Hirai Y et al. J Invest Dermatol, Tanaka C et al. Br J Dermatol 発表)。 2)EBV感染γδT細胞、NK細胞培養と細胞株樹立と解析:IL2、IL18とビスホスフォネートを用いる培養系は樹立できたが、生体試料からのγδT細胞細胞株は得られていない。他のEBV感染株に対するHDAC阻害薬の感受性を検討した(Fujii K et al. J Proteomics, Fujii et al. Hematology)。 3)EBVのγδT細胞への感染実験とEBV遺伝子発現解析: T細胞受容体γδ遺伝子再構成解析法とγδT細胞培養法を習得できたので、正常γδT細胞へのEBV感染実験を実施する計画である。EBV遺伝子発現では、溶解および潜伏感染におけるBARTsの発現様式についての結果を報告した(Yamamoto T et al. J Med Microbiol)。 4)予後因子解析:各病型(46症例)のコホート研究により、粘膜・眼症状の特徴を報告した(Yamamoto T et al. Eur J Dermatol)。予後解析では、典型的種痘様水疱症は他群と比べて良好で、予後不良因子として、9歳以上の発症と、BZLF1 発現(EBVの再活性化マーカー)の2因子が見出された(Miyake T et al. 論文準備中)。EBV再活性化は、本症の合併症として重要な血球貪食症候群と関連し、重要なバイオマーカーになると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度研究成果は、学会発表および6編の論文として結実した。特に、上記1)患者末梢血および皮膚病変におけるEBウイルス感染リンパ球サブセット解析と、上記4)の予後解析は独創性の高い報告になった。さらに、BZLF1は予後を予測するバイオマーカーとして重要であるだけでなく、病態とも深く関与していると考えられ、今後の研究の展開が期待される。上記2)と3)のγδT細胞培養や遺伝子解析技術は習得できたが、患者からのγδT細胞株樹立と、感染実験に関する成果は次年度へ持ち越しになった。
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Strategy for Future Research Activity |
継続性が必要な次の4研究テーマは次年度も実施する:1)患者末梢血および皮膚病変におけるEBウイルス感染リンパ球サブセット解析、2)EBウイルス感染γδT細胞、NK細胞培養と細胞株樹立・解析、3)EBウイルスのγδT細胞への感染実験とEBウイルス遺伝子発現解析、4)予後因子解析。 われわれはEBウイルス感染NK細胞株がPMAとTNFαにて再活性化シグナルBZLF1mRNAが発現することをすでに報告している(Exp Hematol 2010)。平成24年度の研究成果ではBZLF1mRNA発現が予後因子としても重要であることが分かった。すなわち、これまでの研究成果からEBウイルス再活性化が病態に関連すると考えられた。次年度は、BZLF1の下流のシグナル発現や、ウイルス粒子形成までを追跡する。それにより、本症における細胞障害性T細胞による免疫応答や、血球貪食症候群の機序に言及できるものと期待している。 もう一つの研究テーマは、EBウイルス感染細胞の分化にかかわる研究である。患者のEBウイルス感染CD34陽性細胞の解析のためには余分の採血が必要になるため、倫理規定に基づいた検体採取を実施する。倫理上の配慮をした上で、EBウイルス感染が成立するリンパ球分化段階の解析を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の研究費の約70%は研究用試薬や実験器具などの消耗品購入に充てる。残りは論文作成および国内・国際学会における発表とに充てる予定である。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Phenotypic analysis in a case of hydroa vacciniforme-like eruptions associated with chronic active Epstein-Barr virus disease of T cells2012
Author(s)
Tanaka C, Hasegawa M, Fujimoto M, Iwatsuki K, Yamamoto T, Yamada K, Kawa K, Saikawa Y, Toga A, Mase S, Wada T, Takehara K, Yachie A
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Journal Title
Br J Dermatol
Volume: 166
Pages: 216-218
DOI
Peer Reviewed
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