2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24591656
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
中島 喜美子 高知大学, 教育研究部医療学系, 講師 (20403892)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 英貴 高知大学, 教育研究部医療学系, 助教 (70314995)
志賀 建夫 高知大学, 教育研究部医療学系, 助教 (70444768)
佐野 栄紀 高知大学, 教育研究部医療学系, 教授 (80273621)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 乾癬 / バリア障害 / セラミド / 自然免疫 / IL-23/Th17軸 |
Research Abstract |
アトピー性皮膚炎、乾癬病変においてceramideの発現量の低下を認めることはよく知られているが、ceramideの発現低下が皮膚炎症発症の誘因であるか、あるいは結果の現象であるかは明らかではない。我々は、まず、人の乾癬病変において角層水分量が低下していること、ceramideの発現が低下していること、経皮水分蒸散量(trans-epidermal water loss)の値が高値であることを示し、バリア障害を認めることを確認した。次に、角化細胞特異的にceramide合成経路の律速酵素であるserine palmytoltrasferase(SPT)をノックアウトしたマウス(K5.SPT KO mice)を作製し、交付申請書の中では平成25年に施行予定であった、このマウスにおけるバリア障害と免疫変調について検討した。K5.SPT KO miceの皮膚病変はバリア障害と乾癬様の病理組織所見を示し、皮膚所属リンパ節と皮膚病変部では、IL-17, IL-22を産生するγδ T細胞の増加を認めた。また、K5.SPT KOマウスの皮膚病変では、IL-12/23p40, IL-23p19の遺伝子発現の増加を認めたが、IL-12p35の発現は変わらなかった。生後数日のK5.SPT KOマウスに抗IL-12/23p40抗体を投与したところ、皮膚病変の改善とgd-IL-17細胞の減少を認めた。我々は、表皮特異的にSPTが欠損した皮膚において、IL-23依存性γδ-IL-17細胞の増加とともに乾癬様病変が誘導されることを明らかにした。これは、ceramide欠損がバリア障害のみならず、表皮の変化および免疫変調を誘導する要因であり、バリア障害は病態の結果ではなく原因である可能性を示すことができた、と考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々の研究の目的は、乾癬の発症における皮膚バリア障害の関与についてモデルマウスおよび乾癬患者を用いた解析を行うことである。本年度は、ceramide合成経路の律速酵素であるserine palmytoltrasferase(SPT)を表皮特異的にノックアウトしたマウスは、生後2週目頃より、バリア障害とともに皮膚炎を自然発症することを示した。その皮膚炎の病理組織所見は乾癬の特徴を全て満たし、人の乾癬病変と酷似したものであり、乾癬樣皮疹と判断した。さらに乾癬樣皮膚病変での免疫学的異常は、γδ-IL-17細胞の増加を認め、これは抗IL-12/23p40抗体投与によって制御することが可能であり、人の乾癬病変と同じ傾向を示した。この研究により、乾癬におけるバリア障害は病態の引き金となっている可能性を示すことができたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
K5.SPT-KOバリア破錠モデルマウスにおける免疫変動の解析の継続 1)自然発症バリア破壊に伴う、自然免疫(抗菌ペプチド、TLRなど)の変化をreal time PCRで解析する。また、このマウスに生下時よりセラミドクリームを外用することによって、皮疹の改善、サイトカインの発現、バリア障害の程度に変化をもたらすか否かを検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
マウスの飼育費、消耗品の費用、リアルタイムPCRを施行する費用に使用する予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Kimiko Nakajima, Mika Terao, Mikiro Takaishi, Sayo Kataoka, Naoko Goto-Inoue, Mitsutoshi Setou, Kyoji Horie, Fumiko Sakamoto, Masaaki Ito, Hiroaki Azukizawa, Shun Kitaba, Hiroyuki Murota, Satoshi Itami, Ichiro Katayama, Junji Takeda, Shigetoshi Sano2013
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