2012 Fiscal Year Research-status Report
血小板により誘導される炎症の制御機構の解明とそれに基づく新規治療法の開発
Project/Area Number |
24591660
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
峠岡 理沙 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80464585)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 血小板 / 皮膚炎 / 接触過敏反応 / トレランス |
Research Abstract |
接触過敏反応モデルマウスにおいて、ハプテン塗布による感作を行う前に、低濃度のハプテンを繰り返し塗布しておくことにより、接触過敏反応のトレランスが誘導されることが報告されている。我々はこのトレランスモデルマウスを用いて、接触過敏反応のトレランス成立過程における血小板の役割について検討した。 マウスの腹部に低濃度のハプテンまたは溶媒のみを20日間繰り返し隔日塗布し、その後マウスの腹部にハプテンを塗布して感作させ、マウス耳介にハプテンを塗布することにより接触過敏反応を惹起させた。そして、その繰り返し隔日塗布の期間に一部のマウスに抗血小板抗体の静脈注射を行い、血中の血小板を著しく減少させた。接触過敏反応の評価として、耳介の厚さの計測および皮膚組織のHE染色による組織学的所見の検討を行った。 過去の報告のように、低濃度のハプテンを繰り返し隔日塗布しておくことにより、溶媒のみを繰り返し隔日塗布した対照マウスに比べて、接触過敏反応が減弱し、トレランスが誘導された。そして、このハプテンを繰り返し隔日塗布の期間に抗血小板抗体投与により血中の血小板数を著しく減少させたマウスでは、血小板数が正常なマウスに比べて、減弱していた接触過敏反応が増大し、トレランスの誘導が抑制された。 ハプテン塗布による接触過敏反応での炎症制御機構において血小板が関与している可能性が考えられ、血小板は皮膚の炎症を増強させるだけでなく、トレランスの成立過程においても重要な役割を果たしていることが示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度に予定していた接触過敏反応モデルマウスの耳介の厚さの計測および皮膚組織のHE染色による組織学的所見の検討を行うことができたため、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
接触過敏反応モデルマウスでの皮膚組織および所属リンパ節での制御性T細胞の数および機能の解析を行っていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験動物費、薬品、抗体などの消耗品に約100万円、国際・国内学会発表のための旅費に約20万円使用する予定である。
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