2013 Fiscal Year Research-status Report
血小板により誘導される炎症の制御機構の解明とそれに基づく新規治療法の開発
Project/Area Number |
24591660
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
峠岡 理沙 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80464585)
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Keywords | 血小板 / 皮膚炎 / 接触過敏反応 / トレランス |
Research Abstract |
接触過敏反応モデルマウスにおいて、ハプテン塗布よる感作を行う前に、低濃度のハプテンを反復塗布しておくことにより、接触過敏反応のトレランスが誘導されることが報告されている。我々はこのトレランスモデルマウスを用いて、接触過敏反応のトレランス成立過程における血小板の役割を検討した。 マウスの腹部に低濃度のハプテンまたは溶媒のみを20日間繰り返し隔日塗布し、その後マウスの腹部にハプテンを塗布して感作させ、マウス耳介にハプテンを塗布することにより接触過敏反応を惹起させた。接触過敏反応の評価として、耳介の厚さの計測および皮膚組織のHE染色による組織学的所見の検討を行った。 過去の報告のように、低濃度のハプテンを繰り返し隔日塗布しておくことにより、溶媒のみを繰り返し隔日塗布した対照マウスに比べて、接触過敏反応が減弱し、トレランスが誘導された。そして、このハプテンを繰り返し隔日塗布の期間に抗血小板抗体投与により血中の血小板数を著しく減少させたマウスでは、血小板数が正常なマウスに比べて、減弱していた接触過敏反応は増大し、トレランスの誘導が抑制された。 また、皮膚組織および所属リンパ節における制御性T細胞については、低濃度のハプテンを繰り返し隔日塗布したマウスでは増加傾向を認めるが、ハプテンを繰り返し隔日塗布の期間に抗血小板抗体投与により血中の血小板数を著しく減少させたマウスでは、血小板数が正常なマウスに比べて、有意に減少していた。 以上の結果より、ハプテン塗布による接触過敏反応での炎症制御機構において血小板が関与している可能性が示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度に予定していた接触過敏反応モデルマウスの皮膚組織および所属リンパ節での制御性T細胞の検討を行うことができたため、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
接触過敏反応モデルマウスでの炎症制御機構の誘導に関与している血小板由来の物質(サイトカインなど)を同定していく予定である。
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