2013 Fiscal Year Research-status Report
アトピー性皮膚炎患者は、なぜヘルペスウィルスに感染しやすいのか?
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24591664
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
高橋 良 杏林大学, 医学部, 助教 (00317091)
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Keywords | アトピー性皮膚炎 / ヘルペスウィルス / カポジ水痘様発疹症 / 単球 / PILRα / 制御性T細胞 / Treg / proinflammatory monocyte |
Research Abstract |
・昨年度同様にADEH患者の急性期・回復期、EHを未発症の血清HSV IgG陽性AD患者、そして健常人におけるTreg細胞の末梢血単核細胞(PBMC)中の割合及びTregの代表的な表面マーカーの解析と比較を行った。その結果、ADEH急性期で増加していたTregは、CTLA-4+ CD127dim/- CD39+ HELIOS+の典型的なTregの表現形を示した。またCD45RAとFoxp3の発現様式から、このTregはinduced Tregであることが判った。 ・PMA刺激でCD4、CD8、CD56 NK細胞のサイトカイン産生を測定した結果、IFN-γ及びTNF-αがADEH急性期で優位に低下していた。HSV特異的CD8+ T細胞を測定した所、ADEH急性期ではPBMCからTregを除去した場合IFN-γ産生が優位に増加した。さらに中和抗体を用いた実験では、IL-10がIFN-γ産生を抑制していたことを解明した。 ・次に、CD14dimCD16+ proinflammatory 単球(pMO)は、Toll-like receptor (TLR)- 2 を介してHSVを認識し、サイトカインを産生してウィルス排除を担う事がわかっている。そこでTLR-2アゴニストのPam3Cysで刺激し、pMOからのサイトカイン産生を調べた所、ADEH急性期ではTNF-α、IL-1β、IL-6の産生が低下し、IL-10の産生が優位に上昇していた。このpMOが末梢血Tregの増殖に深く関与している事が近年報告されているので、ADEH急性期と健常人のpMOのTreg増殖への影響を比較したところ、ADEH急性期のpMOはinduced Tregを優位に増殖させる事を見出した。 ・皮膚組織の染色から、病変部のpMOにHSV抗原が検出され、CD8+T細胞や多数浸潤しているTregに隣接するように分布していた。 以上の結果から、HSVに感染したpMOがそれ自身のウィルス排除機能を低下させるとともに、抑制機能を有するTregを増殖、細胞性免疫機能を低下させ、その結果HSVの再活性化が起こりADEHを発症するというメカニズムを解明した。上記結果をまとめ、米国科学誌The Journal of Immunologyで発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度の実験から、ADEH急性期では、増殖しているTregがHSVに特異的に反応するCD8+T細胞を抑制している事を見出し、その結果、HSVの再活性化が発生する事を解明した。さらにADEH急性期で見られたユニークなpMOが、Tregの増殖に関与している事等も見出し、ADEH患者でなぜヘルペスウィルスが再活性化しているのかを解明した。以上をまとめて論文発表を行うことが出来た事は、予定されていた計画以上の成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
HSV-1が単球に感染しているのか?:ADEH急性期では、pMOに異常な機能を示し、さらにTregを増殖させることが判った。pMOにはHSV-1が感染するためのレセプター(PILRα)が高率で発現しているため、HSV-1が感染している可能性が大変高い。そこで実際にHSV-1がpMOに感染しているのかを確認するために、pMOをセルソーターで分離後、PCR法にてHSV-1ウィルスDNAを検出する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験計画上、必要な薬品及び培養器具が発生したため。 抗体等の高額な薬品及び培養器具の購入費用として使用予定である。
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Research Products
(3 results)