2013 Fiscal Year Research-status Report
皮膚バリア関連200遺伝子の網羅的解読による新規アトピー性皮膚炎原因遺伝子の同定
Project/Area Number |
24591665
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
佐々木 貴史 慶應義塾大学, 医学部, 特任講師 (70306843)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 亮治 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (70335256)
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Keywords | アトピー性皮膚炎 / エキソーム |
Research Abstract |
本研究課題は、①これまでに皮膚形成に関与していると報告されている遺伝子②上皮顆粒層に高発現遺伝子の中から200遺伝子を対象とした次世代DNAシーケンサーを用いて安価・迅速に解読する方法を開発し、慶應義塾大学医学部皮膚科学教室で収集した日本人AD患者のDNA解析により、新規AD原因遺伝子の同定を目指している。 初年度である平成24年度は、Haloplexターゲットエンリッチシステムを用いて345遺伝子を次世代DNAシーケンサーで解読し、平成25年度に予定していた解読結果のコンピューター解析法の確立を行った。その結果、5種のプログラムを用いて変異同定を行う方法を確立した。この方法を用いてアトピー性皮膚炎(AD)患者6人の解析を行い、20カ所のミスセンス変異を同定した。平成25年度は、次世代DNAシーケンサーイルミナ社Miseqの1Runあたりの解読容量が増加した事からHaloplexターゲットエンリッチシステムを用いた約600遺伝子を解読する方法の確立をおこなった。慶應義塾大学病院皮膚科を受診した6人のAD患者から抽出したゲノムDNAを用いて、ターゲットリシーケンシング用ライブラリーを作製した。そのライブラリーをMiseq DNAシーケンサーでの解読を行った結果、十分量の解読データを得る事ができなかった。そこでライブラリーDNAやプロトコールを確認した結果、解読容量の増加に伴って変更した標準プロトコールのライブラリーDNA変性条件に問題がある事が明らかになった。そこで、DNA変性条件を平成24年度の条件にして解析を行った所、データが得られる様になり、600遺伝子解読方法が確立できた。また、解析方法は、既知病原変異などの情報を付加可能なSurecallプログラムを導入した。 最終年度である平成26年度は、確立した方法を用いて実際のAD患者の解析を行なう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の検討項目のうち、1.皮膚バリア関連200遺伝子の抽出とPCR primer作成、2.Exon PCR-multiplex sequencing法の開発200遺伝子のDNAシーケンシング解析方法の確立は、Agilent社Haloplexターゲットエンリッチメントシステムを使う事で皮膚バリア関連345遺伝子の解読が可能となった。実際の対象にしたい候補遺伝子は600遺伝子以上あり、またMiSeq DNAシーケンサーのシーケンシング容量の増大されたことから、新たに600遺伝子の解読法の確立を行った。標準的なメーカー推奨の方法で行った結果データがほとんど得られなかったが、DNA変性条件を変更する事により、十分な量のデータが得られるようになった。この事から、解読法の樹立は計画時よりも多い遺伝子数を解読する方法が確立できた。データ解析は、平成24年度に①cutadapt②Bowtie2③samtools④GATK⑤snpEFF⑥SIFTの6種類のプログラムを組み合わせた解読法を確立した。さらに、平成25年度は、これらのプログラムがパッケージ化され、既知変異情報が付加されるSureCallの導入検討を行った。その結果、ほとんど変わらない解析結果が得られた。 これらの結果、平成25年度までに計画した①皮膚バリア関連遺伝子の抽出(200から600遺伝子へ変更)②ライブラリー作成及び解析方法③解析方法の確立が終了した。これまでに、平成25年度までに、20人のデータ解析を終える予定であったが、DNA変性条件検討に時間がかり、現在までに12人の解読が終了した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに、次世代DNAシーケンサーを用いて一人当たり約600遺伝子の解読が可能となった。そこで、この方法を用いて、残りのAD患者の解読を行う。解読した結果は、既知病原変異、ナンセンス変異、インサーション・デリーション、エキソン境界変異、ミスセンス変異に分類し、比較を行う。また、同定された遺伝子変異は、1000人ゲノム計画データやガン変異データベースと照らし合わせ、これまでに報告されているかどうか、また、これまでのゲノムワイド関連解析によって関連が報告されていないかなど評価をする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、シーケンシング条件の検討に時間がかかった。解読試薬の有効期限は半年であることから、先に購入すると有効期限が切れる可能性があった。解析条件がすべて確定してから解読を始めるために、次年度に購入をすることとした。 平成25年度までの研究により約600遺伝子の解析法にめどのついた事から、平成26年度は次世代DNAシーケンサー消耗品を中心に研究費を使用する予定である。また、遺伝子変異解析では最新の遺伝子変異情報が重要な事から、今年度も学会などでの情報収集を行う。現在使用しているコンピューターでは、解析に1人当たり1日必要である。対象遺伝子が増える事から、演算時間がさらに増える事が予想される。更なる解析を行うためにはスペックの高いコンピューターが必要となるが、要求するスペックを満たすコンピューターは非常に高価なため、大学内外で高度な演算能力を有するコンピューターを使う事が可能か、支出と見合う結果が得られるかどうか検討を行う。
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