2012 Fiscal Year Annual Research Report
モデルマウスを用いたメラノーマの新規分子標的治療法の開発
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24591670
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
熊坂 真由子 中部大学, 生命健康科学研究所, 研究員 (90469023)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳下 武士 愛知医科大学, 医学部, 助教授 (40387816)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | メラノーマ / モデルマウス / 色素細胞 / 腫瘍 / 皮膚科学 |
Research Abstract |
皮膚悪性腫瘍であるメラノーマは、発症過程の違いにより2種類に分類される。母斑が前癌腫瘍を経て悪性腫瘍に転化、すなわち多段階発癌タイプと、良性腫瘍や前癌腫瘍を経ず、正常細胞から突然メラノーマが生じるデノボメラノーマである。本研究は、母斑関連メラノーマ、デノボメラノーマを自然発症するそれぞれのメラノーマモデルマウスを用いて、両タイプのメラノーマの発症や進行に関わる遺伝子の機能解析を通じて、メラノーマ発症のメカニズムの解析を行うと共に、モデルマウスを用いて将来ヒトの治療につながる治療法の開発を目指すことを目的としている。平成24年度には、治療の候補遺伝子であるP遺伝子を中心に研究を進めた。 1)P遺伝子の発現を抑制するベクターをB16F10メラノーマに導入し、P遺伝子の発現が恒常的に抑制されるクローンの選別を試みた。薬剤選別法により、コントロールクローン、P遺伝子の発現が恒常的に抑制されるよう操作したクローンをそれぞれ30個ずつ選別し、そこからタンパク質を抽出し、ウェスタンブロット法を用いてP遺伝子の発現量の比較を行った。その結果、P遺伝子の発現量抑制のレベルが異なる複数のクローンの単離に成功した。抑制レベルの異なるクローンの単離に成功したことは、P遺伝子の発現量の違いがメラノーマの形質に与える影響を調べることに役立つ。また、これらのクローンにおいて7日間、細胞数の変化を観察したところ、若干の細胞数の減少が見られ、P遺伝子が細胞増殖かアポトーシスの抑制に関わっていることを示唆しており、今後更なる解析が必要である。 2)ヒトのメラノサイト系良性腫瘍とメラノーマを含むTissue arrayを用いてPタンパク質に対する免疫染色を行った。その結果、多くのメラノーマにおいて発現量が増加している傾向が観察された。今後、発現量の数値化を行い、メラノーマの病態との関連を調べる必要がある。
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