2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24591681
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
三好 耕 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (90362996)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | Disc1 |
Research Abstract |
ヘテロでDisc1欠損変異を持つマウス同士を交配させ、産仔の尾組織を用いgenomic PCRによるgenotypingを行った。得られた同腹の野生型(Wt)とホモ変異型(Hm)マウスについて、2週齢、4週齢、8週齢(成獣)で灌流固定を行ったうえクリオスタットを用いて脳組織の凍結切片を作成した。Nissl染色での観察では、同一面で組織の面積や形状、脳室の面積を測定し、大脳皮質の厚みと層構造、海馬アンモン角、歯状回の細胞構築、および各部位でのニューロンの極性、軸索や樹状突起の伸展およびネットワークの形成に焦点を当てて解析した。またアデニル酸シクラーゼ3型抗体を用いた免疫蛍光染色によりニューロンの1次繊毛を標識し、脳内各部位で1次繊毛の長さを比較すると共に、繊毛受容体の1次繊毛への局在についても検討した。これらではWt・Hm間で有意な差異は認めなかった。 ヘテロ変異型同士を交配させ、胎生15日目(E15)にて母親マウスにBromodeoxyuridine(BrdU)を腹腔内投与し胎仔の新生細胞を標識したうえで、E18、出生後2日目(P2)などの各段階で仔マウスをサンプリングして、BrdU抗体を用いた免疫蛍光染色を行った。脳室側から軟膜側の各区画に位置するBrdU陽性post-mitotic cellの数を集計し、同腹のWt・Hm間で比較したが、有意な差異は認めなかった。以上により、Disc1の欠失は新生ニューロンのmigrationに影響を及ぼさないことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Disc1抗体を用いた免疫蛍光染色により、各発達段階の脳内Disc1発現パターンを解析する予定であったが、免疫染色でのバックグラウンドシグナルが高いため、Disc1タンパクの組織内局在を同定するに至らなかった。 E12に母親マウスにBrdUを腹腔内投与し胎仔の新生細胞を標識したうえで、24時間後にE13の胎仔をサンプリングしてgenotypingを行うと共に、脳切片を作成した。BrdU抗体およびprogenitor markerのPAX6に対する抗体を用いて2重免疫蛍光染色を行い、ventricular zone/subventricular zoneのprogenitor cellのうち、BrdU陽性のものの比率を算出した。また、mitosis markerであるphospho-Histone H3の陽性細胞の比率すなわちmitotic indexを算出した。これらを同腹のWt・Hm間で比較する計画であったが、得られた同腹マウスが少なかったため、有意差の有無を検討できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
Disc1抗体を用いた免疫蛍光染色では、免疫染色の諸条件を調整することによりバックグラウンドシグナルを低減させ、Disc1タンパクの脳内発現パターンを明らかにする。 E13における同腹のWt・Hmの胎仔の確保数を増やし、BrdU抗体・PAX6抗体による免疫染色およびphospho-Histone H3抗体によるmitotic indexの算出を継続する。これらの有意差の有無を検定することにより、Disc1の欠失がprogenitor cellのproliferationに影響を及ぼすか否かを明らかにする。 加えて、平成25、26年度は当初より施行予定であったDisc1の欠失が海馬歯状回のneurogenesisに及ぼす影響の評価およびDisc1の欠失が精神疾患に関連する行動学的な異常を惹起するか否かの検討を行う。 また、得られた結果を取りまとめ、成果の発表を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
E13における同腹のWt・Hmの胎仔が少数しか得られず、胎仔脳の凍結切片の作成および免疫蛍光染色に要する試薬類、抗体の購入量が当初の予定より少なかったため、次年度に繰り越す研究費が生じた。 平成24年度からの継続実験として、Disc1タンパクの脳内発現パターンの解析およびDisc1の欠失が胎生期においてprogenitor cellのproliferationに影響を及ぼすか否かの検定を行う。 また同数のWtとHm(オス、8週齢)にBrdUを腹腔内投与し(2時間おきに4回)、最後の投与の48時間後に灌流固定し、海馬を含む領域の冠状断連続切片を作成する。切片の2重免疫蛍光染色により、歯状回顆粒細胞層のBrdU、NeuN両陽性細胞すなわち新生ニューロンの数を計測し、Wt・Hm間で比較する。また、BrdU投与の1週、2週、4週後にも観察時期を設け、新生ニューロンのsurvival、分子層側へのmigration、顆粒細胞層へのintegrationについてBrdU、NeuN染色により観察する。さらに、Wt・Hmについて各々3群に分け、生理食塩水、抗うつ薬imipramine、fluoxetineのいずれかを21日間連続で腹腔内投与したうえで同様の計測を行うことにより、抗うつ薬への反応も併せてDisc1の欠失が海馬歯状回のneurogenesisに及ぼす影響を評価する。 得られた結果を取りまとめ、成果の発表を行う。
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