2013 Fiscal Year Research-status Report
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24591681
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三好 耕 大阪大学, 連合小児発達学研究科, 助教 (90362996)
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Keywords | Disc1 |
Research Abstract |
Disc1抗体を用いた免疫蛍光染色により、Disc1タンパクの脳内発現パターンについて一定の結果が得られた。Disc1タンパクは周産期の海馬アンモン角の錐体細胞に発現を認めたが、免疫反応性の低さから発現量は少ないものと考えられた。 ヘテロでDisc1欠損変異を持つマウス同士を交配させ、胎生12日目(E12)に母親マウスにBromodeoxyuridine(BrdU)を腹腔内投与し胎仔の新生細胞を標識したうえで、24時間後にE13の胎仔をサンプリングしてgenotypingを行うと共に、脳切片を作成した。BrdU抗体およびprogenitor markerのPAX6に対する抗体を用いて2重免疫蛍光染色を行い、ventricular zone/subventricular zoneのprogenitor cellのうち、BrdU陽性のものの比率を算出した。また、mitosis markerであるphospho-Histone H3の陽性細胞の比率すなわちmitotic indexを算出した。これらを同腹の野生型(Wt)・ホモ変異型(Hm)マウス間で比較したが、有意差を認めなかった。これにより、Disc1の欠失がprogenitor cellのproliferationに影響を及ぼさないことが示唆された。 同数のWtとHm(オス、8週齢)にBrdUを腹腔内投与し(100 mg/kg;2時間おきに4回)、最後の投与の48時間後に灌流固定し、海馬を含む領域の冠状断連続切片を作成した。同切片の2重免疫蛍光染色により、歯状回顆粒細胞層のBrdU、NeuN両陽性細胞すなわち新生ニューロンの数を計測しWt・Hm間で比較したが、有意差を認めなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
同数のWtとHm(オス、8週齢)について、BrdU投与の1週、2週、4週後に海馬歯状回における新生ニューロンのsurvival、分子層側へのmigration、顆粒細胞層へのintegrationについてBrdU・NeuN染色により観察し、さらにWt・Hmについて各々3群に分け、生理食塩水、抗うつ薬imipramine(30 mg/kg)、fluoxetine(20 mg/kg)のいずれかを21日間連続で腹腔内投与したうえで同様の計測を行うことにより、抗うつ薬への反応も併せてDisc1の欠失が海馬歯状回のneurogenesisに及ぼす影響を評価する予定であった。しかし、得られたHmのオスの数が不足していたため、有意差の有無を検定できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
Hmのオスの確保数を増やし、海馬歯状回における新生ニューロンのsurvival、migration、integrationについてBrdU・NeuN染色による観察、さらにWt・Hmの各々で生理食塩水、imipramine、fluoxetineのいずれかを連続投与したうえでの同様の計測を継続する。これらの有意差の有無を検討することにより、抗うつ薬への反応も併せてDisc1の欠失が海馬歯状回のneurogenesisに及ぼす影響を明らかにする。 加えて、平成26年度は当初より施行予定であった同数のWtとHm(オス、8~10週齢)に対する精神疾患に関連する各種行動実験を行ったうえ、結果をWt・Hm間で比較することにより、Disc1の欠失が行動学的な異常を惹起するか否かを検討する。 また、得られた結果を取りまとめ、成果の発表を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
得られたホモでDisc1欠損変異を持つオスマウスの匹数が予想を下回ったため、BrdU、抗うつ薬、脳の凍結切片の作成および免疫蛍光染色に要する試薬類、抗体の購入量が当初の予定より少なかった。これにより、次年度に繰り越す研究費が生じた。 平成25年度からの継続実験として、同数のWtとHm(オス、8週齢)について、BrdU投与の1週、2週、4週後に海馬歯状回における新生ニューロンのsurvival、分子層側へのmigration、顆粒細胞層へのintegrationについてBrdU・NeuN染色により観察し、さらにWt・Hmについて各々3群に分け、生理食塩水、抗うつ薬imipramine(30 mg/kg)、fluoxetine(20 mg/kg)のいずれかを21日間連続で腹腔内投与したうえで同様の計測を行うことにより、抗うつ薬への反応も併せてDisc1の欠失が海馬歯状回のneurogenesisに及ぼす影響を評価する。 また同数のWtとHm(オス、8~10週齢)に対する精神疾患に関連する各種行動実験を行ったうえ、結果をWt・Hm間で比較することにより、Disc1の欠失が行動学的な異常を惹起するか否かを検討する。得られた結果を取りまとめ、成果の発表を行う。
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