2013 Fiscal Year Research-status Report
Choreinとミトコンドリア関連細胞死の関連について
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24591685
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
中村 雅之 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (90332832)
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Keywords | chorein / beta-adducin |
Research Abstract |
ヒト有棘赤血球舞踏病患者、有棘赤血球舞踏病責任遺伝子(VPS13A)変異保因者、および健常者の赤血球膜分画の蛋白質を用いて二次元電気泳動し、タンパク質のスポット解析を行った。患者(VPS13A変異2つ)と変異保因者(同変異1つ)、健常者(同変異0)の間でスポットのタンパク染色濃度に変異量と相関あるいは逆相関して差のあるスポットに対して質量分析を行ったところ、患者由来の赤血球膜ではbeta-adducinタンパク質の発現が減少していることが予備的に確認された。 続いて、有棘赤血球舞踏病責任タンパク質であるchoreinを強発現させたHEK293細胞から抽出したタンパク質を用いて免疫沈降法を行い、共沈物に対してウエスタンブロットを行ったところ、choreinとbeta-adducinが共沈していることが確認できた。同細胞を用いて、choreinとbeta-adducinについて免疫蛍光染色を行ったところ、両タンパク質ともに顆粒状に染まり、その多くは共局在を示していた。 有棘赤血球舞踏病モデルマウス脳と野生型マウス脳における線条体、海馬および大脳皮質から抽出したタンパク質を用いてbeta-adducinタンパク質についてウエスタンブロットを行ったところ、有棘赤血球舞踏病モデルマウスの線条体において有意にバンド濃度が薄かった。 beta-adducinはスペクトリン-アクチンネットワーク構造に関与する細胞骨格タンパク質の一つである。beta-adducinの発現は、赤血球と神経細胞に限られており、有棘赤血球舞踏病の主な病変組織(有棘赤血球症と線条体神経変性)と一致する。今回の結果から、beta-adducinはchoreinと相互作用しており、有棘赤血球舞踏病の病態に関与する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々の研究の目的は、有棘赤血球舞踏病責任タンパク質であるchoreinと分子的に結合するタンパク質を同定し、平行してchoreinとミトコンドリア膜電位消失刺激による細胞死との関与を見出すことである。平成24年度にはchoreinはミトコンドリア膜電位消失刺激時にmyosinと相互作用し、ミトコンドリアに集積する事で細胞死を抑制する可能性が示唆される結果を得た。平成25年度は、平成24年度に平行しておこなっていたchoreinと分子的に結合する可能性のあるタンパク質を同定する研究の中で、beta-adducinを見出した。beta-adducinが赤血球膜と線条体においてchoreinと相互作用し、有棘赤血球舞踏病の分子病態に関与する可能性が示唆される結果を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、choreinと相互作用する可能性がある新たなタンパク質を予備的に見出しており、それらタンパク質の同定を行い、細胞死との関連を調べる。また、同定された新たなchorein相互作用タンパク質群に対して、有棘赤血球舞踏病モデルマウスの線条体における発現や局在の変化と行動異常との関連などを検討する。また、有棘赤血球舞踏病患者およびその変異保因者には強迫性障害、うつ病、統合失調症などの精神疾患が多発する事が知られている。これらから、chorein相互作用タンパク質をコードする遺伝子群とこれら精神疾患との関連を検討する事を予定している。
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Research Products
(4 results)